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2018/01/24

TRNSYSで実測データでシミュレーションする

実測データや気象庁などの観測データから計算用の気象データを作る際の注意点をまとめてみます。
TRNSYSには標準的な気象データを読み込んで出力する各種気象データリーダーが添付されています。これらを使って市販やオープンソースの気象データを扱うことができます。
実測データを使いたいケースではUser Formatに対応したコンポーネント、Type99も用意されています。このコンポーネントを使って実測データなど標準気象データ以外を扱うことができます。

Type99のデータフォーマット

Type99には専用フォーマットが用意されているので、それに合せて実測データを加工します。データフォーマットの構造です。<userdefined>につづく20行ほどはヘッダーで、実測値点の緯度経度やタイムゾーン、含まれる実測値の種類を定義しています。それにつづいて実際のデータが<data>行以降に続きます。


緯度経度とタイムゾーン

実測値点の緯度(latitude)経度(longitude)とタイムゾーンを指定します。緯度は北半球(+)、南半球(-)、経度はグリニッジを基準に東(+)、西(-)で指定します。
タイムゾーンはグリニッジ標準時との時差を指定します。日本国内は+9になります。
以下は東京の例です。
<longitude> -139.76
<latitude>  35.69
<gmt>       9

インターバルと開始時刻

実測データのインターバル(interval)は、実測の間隔に合わせてHourで指定します。例えば15分間隔であれば0.25を指定します。Type99では標準は1hを前提にしているため短い間隔を指定するとエラーの原因になることがあります。とくに理由がない場合は1h間隔のデータがお勧めです。
開始時刻(firsttime)は1/1 1:00から始まる通し時間で指定します。例えば、2/1 1:00から始まる実測データであれば745を指定します。
インターバル1h,開始時刻2/1 1:00の例
<interval>  1
<firsttime> 745

データの指定

<var>で始まる行ではデータの種類とカラム位置を指定します。リストはサンプルデータ("C:\TRNSYS18\Examples\Data Files\Type99-UserFormat.99")の抜粋です。この例では水平面直達日射、水平面天空日射、外気温、相対湿度、風向、風速のデータを定義しています。
<var> IBEAM_H <col> 5 <interp> 0 <add> 0 <mult> 1 <samp> 1
<var> IBEAM_N <col> 0 <interp> 0 <add> 0 <mult> 1 <samp> 0
<var> IDIFF_H <col> 6 <interp> 0 <add> 0 <mult> 1 <samp> -1
<var> IGLOB_H <col> 0 <interp> 0 <add> 0 <mult> 1 <samp> 0
<var> TAMB    <col> 3 <interp> 2 <add> 0 <mult> 1 <samp> 0
<var> RHUM    <col> 4 <interp> 1 <add> 0 <mult> 100<samp> 0
<var> WSPEED  <col> 2 <interp> 1 <add> 0 <mult> 1 <samp> 0
<var> WDIR    <col> 1 <interp> 1 <add> 0 <mult> 1 <samp> 0
データの指定は値のキーワードと、<data>行以降のカラム番号の組み合わせで指定します。
水平面直達日射の値はキーワードは IBEAM_H、カラム位置は<col>5 です。これでデータ部分の5カラム目が水平面直達日射として扱われます。
下のリストは<data>行の抜き出したものです。赤い部分が5カラム目、水平面直達日射の値です。(0が並んでいるのは開始時刻が夜間なので日射がないため)
<data>
  0   0.0   -2.1   .93        0   0
 80   0.0   -2.5   .95        0   0
340    .5   -2.9   .96        0   0
  0   0.0   -3.4   .96        0   0
 30    .5   -4.1   .95        0   0
 50   0.0   -4.9   .94        0   0
 40   1.0   -5.5   .93        0   0
 70   1.5   -5.6   .91        0   0
120    .5   -5.4   .91       22  28
データのキーワードは以下の通りです。
  • 水平面直達日射(IBEAM_H)
  • 法線面直達日射(IBEAM_N)
  • 水平面天空日射(IDIFF_H)
  • 水平面全天日射(IGLOB_H)
  • 外気温(TAMB)
  • 相対湿度(RHUM)
  • 風速(WSPEED)
  • 風向(WDIR)
日射量についてはすべてを指定する必要はありませんが、直散分離の関係で、最低限必要な項目が決まっています。以下のいずれかの組み合わせで指定が必要です。
  • 水平面直達日射(Ib)、水平面天空日射(Id)
  • 水平面全店日射(I)、水平面天空日射(Id)
  • 水平面全店日射(I)、法線面直達日射(Ibn)
  • 水平面全店日射(I)、外気温(Tamb)、相対湿度(RH)

<interp>は補完処理の指定です。1h間隔のデータを使って、タイムステップ0.25hで計算するようなケースで値の補完処理が行われます。0:補完なし、1:線形補完、2:は5点スプライン補完です。
スプライン補完では、実際の値よりも大きな値や小さな値に補完されることがあります。このため相対湿度へ指定すると、計算上100%を超えるケースがあります。湿度については<interp>2の指定は避けてください。
<add>, <mult>値への係数。必要に応じて指定します。(あまり使わないです)
<samp>データのサンプリング範囲の補正値。日射データなど計測した範囲の指定です。具体的には1h間隔で日射量を計測した場合、その値がある時刻の直前のタイムステップ(-1)、前後1/2のタイムステップ(0)、次のタイムステップ(1)分なのかを指定します。ケースバイケースですが実測データでは直前の1ステップ分になっていることが多いようです。
ちなみにEA気象データについては前後1/2の範囲(0)になっていますので、もしEA気象データを利用される場合は注意してください。
気温、湿度などは通常は0で指定してください。
その他、詳しくはマニュアルの「4.12.2. Type 99: User-Defined File Format Data Reader / Processor」参照

データ作成の注意点


欠測データの補正
割とありがちですが、欠測でデータがない、もしくはデフォルト値が含まれていることがあります。Type65でグラフを描くと、明らかに変な値が見つかることがあります。こういった場合はなんらかの方法で補正を行ってください。
データ数は24hの倍数
<data>以降の行は24hの倍数必要です。これは仕様なので、実測データが半日分で終わっているような場合は最終日のデータは捨てて24hの倍数になるように調整してください。
<interval>は割り切れる値がおすすめ
計算上はHourで扱うため、割り切れない値(例、5分間隔=0.08333333)ではエラーの原因になることがあります。(おそらく計算上の誤差が積み重なってエラーになる)
3分(0.05h)、6分(0.1h)などHourに換算して割り切れる値がお勧めです。
上述したように一般に気象データは1hour間隔のデータが多いため、特に理由がなければ1h間隔がお勧めです。

助走計算期間も忘れずに
建物(TRNBuild/Type56)を含むプロジェクトでは蓄熱などの関係から、ある程度の助走計算の期間を取る必要があります。(参考:TRNSYSの助走期間)建物の種類などにもよりますが、1週間から2週間程度は取る事が多いようです。
実測期間が十分長ければ問題ありません。はじめの1~2週間分のデータを助走して捨てれば済みます。
実測期間が1~2週間では、助走期間をどう扱うか検討が必要になります。例えば、実測データを再利用して助走期間に充てる(実測が7/1から1週間なら同じデータを6/24から1週間分として利用する。いいのかな、これ?)、近隣の気象データで代用するなど、何らかの対策が必要です。このあたりはコメントしにくいので考えてみてください。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit)
TRNSYS18.00.0017(64bit)

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