TRNSYSで外気導入モデル

TRNSYS-USERSに外気導入モデルの質問が投稿されていました。これに対してEquationを使った処理方法が提案されています。

http://lists.onebuilding.org/pipermail/trnsys-users-onebuilding.org/2021-January/032278.html

よくある処理なので、参考までに作ってみました。(提案されている処理方法とはちょっと変えています。)

Equationを使った外気導入例

計算条件

外気導入の判定条件は次の通り。

  • 換気量は通常は0.6m3/m2h、外気導入時は12.0m3/m2h
  • 18℃<外気温<24℃で外気導入

Equationの設定

Equationは以下のように設定します。

vent_condition = AND(GT(Tamb,18) , LT(Tamb,24) )  
vent_volume = 12.0 
flow_rate = vent_condition*vent_volume + (1- vent_condition )*0.6

変数の意味は次の通り。

vent_condition外気温18℃~24℃ならば1,それ以外は0
外気導入が可能かどうかの判定処理(1:外気導入可能, 0:外気導入不可)
Tamb外気温、気象データリーダーより
vent_volume外気導入時の換気量[m3/m2h]
flow_rate単位床面積あたりの換気量[m3/m2h]
この例では、外気導入時は12[m3/m2h]、それ以外はでは0.6[m3/m2h]

換気設定

TRNBuildでVentilation typeを次のように設定します。

  1. 床面積あたりの換気量を指定したいので「volume flow rate related to reference floor area」を選択
  2. 緑色の矢印をクリックして換気量の設定画面を表示
  3. 「Input」を選択
  4. 「FlowRate」という名前で新しいInputを追加する

最後にEquationとType56を次のように接続したら出来上がり。

これでEquationで判定処理した換気量がType56で使われるようになります。

冷房期間

ここまでの設定では、年間を通して外気導入が働くモデルになっています。冷房期間など、一定の期間に限定したい場合はさらに条件を加えていきます。

この例ではType14を使って冷房期間の条件を設定します。(赤丸の部分)

冷房期間を2880h(5/1) – 6552h(9/30)までとして、Type14を図のように設定します。

冷房期間 2880h(5/1) – 6552h(9/30)

Equationに冷房期間を受け取る変数cooling_periodを追加して、1行目を次のように変更します。

vent_condition = cooling_period * AND(GT(Tamb,18) , LT(Tamb,24) ) 
vent_volume = 12.0 
flow_rate = vent_condition*vent_volume + (1- vent_condition )*0.6 

まとめ

今回の例ではVentilation typeを使っていますが、Infiltration typeでも考え方は同じです。Infiltration typeを使う場合は換気量の部分は換気回数に読み替えて下さい。

さらに夜間換気や生活パターンに合せて特定の時間帯だけ外気導入したい場合はどうしたら良いでしょうか?

考え方としては冷房期間と同じで、24hで繰り返すスケジュールを組み込むことで対応できます。Type14をもう一つ追加して1日分のスケジュールを定義、Equationの1行目をさらに書き換えて次のようにします。

この例では在室者のスケジュールを変数occupantで受け取って式に組み込んでいます。

vent_condition = cooling_period * occupant * AND(GT(Tamb,18) , LT(Tamb,24) ) 
vent_volume = 12.0 
flow_rate = vent_condition*vent_volume + (1- vent_condition )*0.6 

サンプルのダウンロードはリンク先より

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 20H2)
TRNSYS18.02.0002(64bit)

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