TRNSYSでPMVのDetailed modeの設定

同じ建物の部屋でも、窓付近と部屋の奥側の評価をしたいケースって有りますよね?

PMVで評価する場合、TRNSYSの計算では、MRT(平均放射温度)の計算方法を指定した計算が可能です。以前に紹介したPMVの計算では、MRTは面積按分で計算していました。今回は室内の位置による影響を考慮して計算する方法の紹介です。(Comfort typeやOutputの指定は前回の投稿を参照して下さい)

MRT(平均放射温度)

さて、MRTとは。。。

(エ) 熱放射 

周囲の表面温度が低ければ気温が高くても快適になる。 その放射環境を表現するた めに、平均放射温度という概念が用いられる。 平均放射温度(MRT)とは、周囲の 全方向から受ける熱放射を平均化した温度表示を言う。

以上、環境省のサイトより引用

ということで、このMRTの計算方法を指定します。

下の図は実際にPMVの計算にMRTを指定した例です。Detailed modeを選択して、MRTを計算する位置を指定しています。後述しますが、この例では同じ室内で4箇所のPMVを計算しています。

MRTの計算位置の指定
MRTの計算位置の指定

設定方法

Detailed modeではMRTを計算する位置の情報が必要になります。これで窓側とか部屋奥の指定を行います。MRTの計算位置の指定は次の手順で行います。

  1. 計算位置をGeoPositionを使って定義する。
  2. ZoneへComfort type, GeoPositionを割り当てる

では設定を始めます。

GeoPositionの定義

例によって2室モデル演習のモデルを使用します。図のように窓際から1m間隔でGeoPositionを4つ定義します。

GeoPositionの配置位置
GeoPositionの配置位置

図の配置位置に合せてGeoPositionを追加します。

  1. Navigatorの「Geo-Info」をダブルクリックして設定画面を表示する
  2. Point Geometryで「gain, comfort」を選択する
  3. 」ボタンをクリックして、新しいGeoPositionを追加する
  4. GeoPositionを配置するZoneを選択する
  5. Comfort typeで使用するため、「comfort」を選択する
  6. 配置する位置を座標で指定する※

※座標は上の平面図の左下隅が座標原点(0/0/0)です。図面に合せて位置を指定します。高さは任意ですが、ここでは高さ1mで統一します。

GeoPositionを追加する
GeoPositionを追加する

ZoneへComfort type、GeoPositionを割り当てる

ZoneへComfort typeを割り当てる際に、「detailed mode」を選択して、GeoPositionを割り当てます。

ZoneへComfort type, GeoPositionを割り当てる

これでGeoPositionの指定は終了です。あとはOutputを追加して計算を行います。

ということで、図はPMVの計算結果を出力した例です。(2月下旬の2日間を抜粋)

PMVの計算結果
PMVの計算結果

同じ建物、 同じ室内でも位置によって異なる結果になっていることが分かります。 このようにGeoPositionを指定することで、室内の位置による快適性の計算が行えます。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

Windows10 Pro(64bit, 1809)
TRNSYS18.01.0001

TRNSYSでPMVを計算する

建物の温熱環境の評価として、快適性指標が使われる事があります。

TRNSYSの快適性指標

TRNSYS,TRNBuildでは、以下のような快適性指標の計算が行えます。

  • MRT 平均放射温度
  • OT   作用温度
  • PMV  予想平均温冷感申告
  • PPD  予想不満足者率

この中から、比較的よく使われるPMVの設定方法について解説します。

PMVとは?

PMVは人間の感覚量から物理的考察に基づいて温熱快適性を表示したもので、1967年にデンマーク工科大学のオレ・ファンガー(英語版)によって提唱された。温冷感を決定する環境側の4要素(気温[℃]・湿度[%]・風速[m/s]・熱放射[℃])に、人体側の2要素(代謝当量(英語版)[met]・着衣量[clo])を加えて考慮する。PMVでは、PMV=0の状態を熱的中立とし、-3から3のあいだで人間の温熱快適性を表現する。なお、極端に過酷な環境下ではPMVは適応できない。

Wikipediaより引用

ということで、計算にはいくつか値が必要です。気温、湿度など通常、Type56が計算する値の他、風速、met, cloなどの値が必要になります。

TRNBuildでは、これらの値を Comfort typeで扱います。(PMVを出力する前提としてComfort typeの定義が必要です)

次の順序で設定します。

  1. clo, metなどPMVの計算に必要な値をComfort typeとして定義する
  2. PMVを計算したいZone(Airnode)へComfort typeを割り当てる
  3. OutputsへPMV(PMVLV、Ntype124)を追加する

Comfort typeを定義する

TRNBuildの画面で操作します。

  1. Comfort typeのアイコンをクリック
  2. 表示された画面の右下の「N」ボタンをクリックする
「N」ボタンで新しいComfort typeを追加する
「N」ボタンで新しいComfort typeを追加する

名前の入力画面が表示されるので、分かりやすい名前を入力します(この例ではデフォルトのままです)

新しいComfortTypeの名前を入力する
新しいComfortTypeの名前を入力する
  1. Clo,Metなどの値を確認、必要に応じて値を変更する
  2. 「✔」ボタンをクリックして、画面を閉じる
Clo,Metなど値を確認する
Clo,Metなど値を確認する

それぞれの値については、ドキュメントの「5.2.4.9. Comfort」に参考値が記載されています。

以上で、Comfort typeの作成は終了です。次は、Zoneへ作成したComfort typeを割り当てます。

ZoneへComfort typeを割り当てる

PMVを計算するZoneへComfort typeを割り当てます。対象のZoneの設定画面を開いて、次にように設定します。

  1. Comfort typeのアイコンをクリック
  2. 表示された画面で、「+」ボタンをクリックしてComfort typeを追加する
  3. リストから、先ほど作成したComfort typeを選択する
  4. 「✔」ボタンをクリックして画面を閉じる
ZoneへComfort typeを割り当てる
ZoneへComfort typeを割り当てる

MRT(Mean Radiant Temperature)の計算方法を指定する事も可能です。デフォルトでは「simple model」が選択されていますが、「detailed mode」で、GeoPositionを使った詳細な計算も可能です。
参考:TRNSYSでPMVのDetailed modeの設定

Outputの指定

Outputの設定画面で、PMVの出力を追加します。

  1. リストから計算対象のZoneを選択する
  2. 「←」ボタンをクリックして、Zoneを「Selected “Thermal Airnodes”」へ追加する
  3. 「comfort outputs」を選択する
  4. リストから「PMVLW」(NType 124)を選択する
  5. 「←」ボタンをクリックして出力を追加する
  6. 「PMVLW」をダブルクリックする
PMV(PMVLW)の出力を追加する

ここで、さらに設定画面が表示されます。つづいて次のように設定します。

  1. リストからComfort typeをクリックして選択する
  2. 「←」ボタンをクリックして、”Selected “Comfort Definitions””へ追加する
  3. 「✔」ボタンをクリックして画面を閉じる
PMVの出力へComfort typeを割り当てる
PMVの出力へComfort typeを割り当てる

以上で、設定は終了です。

Simulation Studioへ戻って、「Update building variable list」を実行すると、Outputsの項目にPMVの出力が追加されます。

あとはType65などでグラフへ出力して、計算結果を確認すればOKです。PPDの計算も同じ方法で追加できます。

これで快適性指標を使った室内環境の評価が可能になります。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

Windows10 Pro(64bit, 1809)
TRNSYS17.02.0005

TRNSYSでPMV計算

まだまだ暑いですね。このところ8時頃には出社していますが、その時間でも室温は30℃以上。エアコンが効き始めるまでの数分間がなかなか不快な朝のひとときです。

不快ついでにTRNSYSでどれぐらい不快なのか計算してみました。TRNSYS/Type56では室温や負荷量の他、さまざまな計算機能が付いています。快適性を表す指標の一つ、PMVが計算できます。

さっそくうちのオフィスをモデル化して。。。。

っと思いましたがメンドクサイのでExamplesのデータを使って計算してみます。

Examplesに入っている3D_Building。これの2階部分で計算してみます。

まずはTRNBuildでOutputsの追加。対象ゾーンを選んで、PMV(Ntype 62)の出力を追加します。

2013/2/15 追記
PMVの説明をよくよく見たらobsolete(旧式!)になっています。TRNSYS17からcomfort outpusという項目が追加されたので、現在はそちらが推奨です。

TRNSYS17以降ではPMV(Ntype 124), PPD(Ntype 126)を使用して下さい。

2019/02/20追記
PMV(Ntype 124), PPD(Ntype 126) の設定はこちらを参照。

TRNSYSでPMVを計算する

計算上Clo,Met値が必要になるのでComfort Typeをゾーンに追加しておきます。

設定が済んだら、まずはエアコンの入った状態で計算。

8月の下旬あたりを抜き出してみると。。。

PMVで0.6から0.85ぐらいの値です。まあまあ快適な感じでしょうかね?

では、エアコンの入っていない状態はというと。。。。

3以上でてます。。。

普通は2で「あつい」なので、相当な不快感ですね、これ。

数字で見たら、なんか余計に不快感が増しました。。。

ちなみに同じやり方でPPD(Ntype 63)も計算できます。