TESS LibraryのTRNSYS18対応について

TRNSYS18がリリースされてしばらく経ちますが、TESS Library(以下、TESS Lib)についての情報です。

TESS LibはTRNSYS17, 18で機能的には同じです。計算内容に変更はありません。

ただし、TRNSYS17からTRNSYS18へのバージョンアップで64bit化されています。このため、以前にTRNSYS17用として購入されたTESS Lib(32bit版)は、TRNSYS18では動作しません。

TRNSYSのバージョンとTESS Libの組み合わせは以下のようになります。

バージョンTESS lib
TRNSYS1732bit版
TRNSYS1864bit版

TESS Lib 64bit版の提供について

TRNSYS17用に購入されたTESS Libをお持ちであれば、TRNSYS18対応の64bit版は無償提供の対象になります。

通常、TRNSYS18のバージョンアップをお届けする際に、すでにTESS Libをお持ちのお客様へは、64bit版TESS Libを同梱しています。(もし、届いていなかったらサポートの窓口まで連絡下さい)

TESS Libraryをインストールしてみる

TRNSYSには標準で100数十個のコンポーネントが用意されています。気象データリーダーやオンラインプロッターなど汎用で使えるコンポーネントから、各種機器などが含まれています。(下図の赤枠)

標準で用意されているコンポーネント
標準で用意されているコンポーネント

TESS Component Libraries

その他にオプションで提供されるコンポーネントライブラリが複数リリースされてます。
その中で最もポピュラーで収録されているコンポーネントが多いのがTESS Librariesです。
これをインストールすると、下図のように大幅にコンポーネントが追加されます。

TESS Component Librariesがインストールされた状態
TESS Component Librariesがインストールされた状態

TESS社がコンサルティング業務を通じで開発した以下の14カテゴリーのコンポーネントが利用できるようになります。

  • Application Components
  • Controller Components
  • Electrical Components
  • Geothermal Heat Pump (GHP) Components
  • Ground Coupling Components
  • HVAC Equipment Components
  • Hydronics Components
  • Loads and Structures Components
  • Optimization Components
  • Solar Collector Components
  • Storage Tank Components
  • Utility Components
  • Cogeneration (CHP) Components
  • High Temperature Solar Components

追加されるコンポーネントは標準には含まれていない機器や計算方法、同じ機器でもより詳細なコンポーネントが含まれています。ちょっと標準コンポーネントでは物足りないといったときには便利なオプションです。

TESS Component Libraries について詳しい情報はこちらのサイトで紹介さています。

例題も含まれているので、以下、Examplesからいくつかピックアップしてみました。

ASHRAEに基づいた地中熱コンポーネント

地中熱を計算するコンポーネント
地中熱を計算するコンポーネント

水を使った機器(ドライミストとかかな?)

Fogging Device
Fogging Device

太陽熱集熱器

太陽熱集熱システム
太陽熱集熱システム

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.00.0019(64bit)
TESS Component Libraries 17

TRNSYS,TRNBuildで地面の温度を扱う

基礎など地面に接している部位の設定

建物の地面側の温度って割と重要です。土間床になっている建物、例えば倉庫とかではかなり室温に影響します。地面側の温度が低ければ、室温は低くく、夏期は冷房負荷は少なくなりますが冬期は逆に暖房負荷が増えます。

TRNSYS/TRNBuildでは基礎や地下室など地面に接している壁は境界条件として扱います。

設定は至って簡単で、TRNBuildで壁のCategoryBOUNDARYを選択、boundary conditionで地面側の温度を指定するだけです。

例)C:TRNSYS18Examples3D_Building

  1. 床面(基礎)のConstructionを選択
  2. CategoryをBOUNDARYへ変更
  3. boundary conditionで地面側の温度を指定

※”C:\TRNSYS18\Examples\3D_Building\6_Step_Add_Daylight\Building_step6.tpf”より

Boundary Conditionの設定
Boundary Conditionの設定

地面側の温度

地面側の温度は何らかの方法で計算した値、もしくは固定値で指定します。計算する期間が短ければ固定で指定するのもありかと思いますが、おそらく季節変動などを見込んだ値にしたいケースがほとんどだと思います。こういう場合は、外部のコンポーネントを使って、Input経由で値を取り込みます。

図はExamples\3D_Buildingの例ですが、Type77(Simple Ground Temperature Model)で地面側の温度を計算、Type56へ引き渡しています。Type56側では上の図のようにTGROUNDで受け手取って、地面側の温度として処理しています。

Type77で地面側の温度を計算する
Type77で地面側の温度を計算する

地面側の温度を計算する

Type77の他、地面側の温度の計算方法はいくつか考えられます。TRNSYS-USERSで調べると “f factor” approach(日本語で何というのか不明)という方法が紹介されています。

上記で紹介したType77は年間の平均温度温度振幅だけで計算できるのでお手軽ですが、地下室などでは深さによっても温度が変わってくるはずです。すべてのケースにType77を当てはまるのはどうかという気がします。地面側の温度は建物や気象条件、土の種類、計算の目的なども含めて検討してみてください。

2018/1/30追記

後で気がついたのですが、Type77では地表面からの深さを複数指定できます。下の図は0.5m, 1.0m, 1.5mの3箇所の温度を計算した例です。地表面に近い基礎部分は浅い深さの温度、地下室の壁や床は深めで計算した値を指定して計算するのもありかもです。

複数の深度を指定して計算
複数の深度を指定して計算

一年分計算すると、深さに応じて変動したカーブが描かれます。

年間の温度変化
年間の温度変化

拡張アメダス気象データのツールで予め計算、そのデータを使って計算するのも手かも知れません。(計算結果をファイルに書き出して、それをType9で読み込んで計算するとか)

その他、TRNSYSで地面側の温度の計算に利用できるコンポーネントを紹介しておきます。

・標準コンポーネントType 49: Slab on Grade

詳細はマニュアル「4.6.4. Type 49: Slab on Grade」を参照

参考:TRNSYSで地中温度 https://www.kankyoukei.com/2011/10/trnsys_20.html

・TESS Individual Component Libraries(オプション)
Type1276 “Be All End All” Ground Coupling

http://www.trnsys.com/tess-libraries/individual-components.php

※日本国内でのお取り扱いはこちらの窓口まで。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit)
TRNSYS18.00.0017(64bit)

TRNSYS-USERS拾い読み(PCMのコンポーネント)

連休も終わっちゃいましたね。TRNSYS-USERSの連休中の投稿を見ていたらPCMの情報が流れていました。
PCMって条件によって潜熱が出たり入ったりして変化するから扱いが難しいんですよね。以下、TRNSYS-USERSで紹介されていたPCMのコンポーネント。

Type204

TRNLibアーカイブで提供される現状有姿、無保証のコンポーネント。無償で利用可能。サポートなし。 (http://sel.me.wisc.edu/trnsys/trnlib/library16.htm#thermalstorage)

※TRNSYS16対応。TRNSYS17以降ではコンポーネントの仕組みが大分変わったので、おそらく動作しない。(TRNSYS17で動いたらラッキーといったレベル。TRNSYS18はそもそも標準で64bit版で提供されるため動作しない)
ソースコードも提供されるのでTRNSYS18への移植も考えられるが、慣れた人でも数日は掛かる。

Type1270

Type1270
Type1270

TESS社が開発、販売する商用コンポーネント。 (http://trnsys.com/tess-libraries/individual-components.php) ※TRNSYS17対応。TRNSYS18については64bit対応版が必要。たぶん近日リリース。

2017/5/8追記
通常のTESS Lib(Individual Component Libを除く)についてはすでにTRNSYS18対応済みです。 Individual componentsについては問い合わせ中。  

Type399

Type399
Type399

Transsolar社が開発、販売する商用コンポーネント。(http://trnsys.de/docs/komponenten/komponenten_ts_en.htm) ※TRNSYS17対応。TRNSYS18については64bit対応版が必要。たぶん近日リリース。

2017/5/9追記
TRNFlowを含め、すべてのNon Standard typeが対応済みです。

Type1270,Type399については、いずれもTRNSYS18対応はハッキリと謳っていません。が、TESS社もTranssolar社もTRNSYSの開発グループなので近日中には対応して来るんじゃないかなと期待中。

ビール造りにTRNSYS

TRNSYSにはオプションでTESS Librariesという便利なコンポーネントを集めたライブラリが用意されています。

もともとTESS社(TRNSYSの開発グループの1社)がコンサルティングプロジェクトで開発したコンポーネントを元に構成されています。つまり実務で検証が取れているって事ですね。

このオプションには14種類のライブラリが含まれていて、更にそれぞれ複数のコンポーネントが含まれる構成になっています。(概要はこちら

このライブラリの概要(英文)の訳をチェックしていたら。。。 「ビールの醸造プロセスでなんとかかんとか。。。」という訳が出てきて、誤訳かと思ったらホントでした。(いままでちゃんと読んでなかったよ、ソーリー)

原文:Cogeneration (CHP) Components The TESS Cogeneration (also known as the Combined Heat and Power or CHP) Library features many steam system components: pumps, valves, superheaters, desuperheaters, turbines, etc.. These components may be used to simulate different cogeneration or trigeneration systems at different scales. TESS has used them to simulate the thermodynamics of the beer brewing process and to model a biomass power plant.

和訳:Cogeneration (CHP) Components
Cogeneration Components にはポンプ、バルブ、過熱器、過熱器、タービンなどの多くの蒸気システムコンポーネントを備えています。これらのコンポーネントを使用して、異なるスケールで異なるコージェネレーションシステムまたはトリジェネレーションシステムをシミュレートできます 。 TESS 社ではビール醸造プロセスの熱力学シミュレーションとバイオマス発電プラントのモデル化にそれらを使用しました。

まー、いろんな使い方があるんですね、TRNSYSって。

TRNSYSのコンポーネントライブラリ


TRNSYSの特徴の一つにモジュラー構造があります。コンポーネントと呼ばれるモジュールを追加することで、機能を拡張することができます。

標準でかなりの数のコンポーネントが用意されていますが、それ以外にも、複数の会社、組織からコンポーネントライブラリがリリースされています。

有償、無償含めて、あちこちで公開さていますが、オフィシャルサイトでは標準ライブラリを含め、すべてのライブラリのリストが公開されています。 


TRNSYS.COM  Libraries

このサイトから、各ライブラリの詳しい情報へのリンクが貼られています。コンポーネント詳しい資料なんかも参照できますから、特殊な計算が必要な場合など、ここから調べることができます。

以下、このURLで紹介されているライブラリの概要です。

TRNSYS Standard Components

TRNSYS標準添付のコンポーネント。

シミュレーションに必要な一般的なコンポーネント。 

TESS Libraries

TESS社が開発、販売するコンポーネント。設備関係が充実しています。

TRNLIB Components

ユーザーが作成、公開している無償コンポーネント。 

TRNAUS Components

オーストラリアのTRNSYS15ユーザー向けライブラリ。(TRNSYS17対応作業中) 

Transsolar Non-Standard Components 

ドイツ、TRANSSOLAR社が開発、販売する設備関係のコンポーネントライブラリ。

しかし、主だったのは知っていたけど、TRNAUSっての知らなかった。あちこちでいろんなものが開発されているんですね。

やろうと思っている計算に、なーかなかジャストフィットするコンポーネントが見当たらないときには、こういうところから探してみるのも一案です。