TRNSYS Type56 / Inputs

Type56では建物に関するさまざまな条件を設定する事ができます。ほとんどの設定はTRNBuildで行いますが、建物外部の条件については、他のコンポーネントと同様にParameter, Inputを使って設定します
Parameterは通常ほとんど変更することはないので、この記事ではInputの各項目について解説しています。(参考:Vol.05 Multizone Building Modeling with Type56 and TRNBuild, 5.3.2. Inputs, pp.5-159,160)
- TAMB(外気温)
- RELHUMAMB(外気相対湿度)
- TSKY(空温度)
- TSGRD(地面温度)
- AZEN(太陽天頂角)
- AAZEM(太陽方位角)
- GRDREF(地表面反射率)
Inputs
※コンポーネントによって同じ意味の値でも表記が異なることがあります。以下()内の記載は一般的な英語表記の例です。
TAMB
建物周辺の外気温。気象データリーダーから外気温(Ambient temperature, Dry bulb temperature)の値を入力します。
RELHUMAMB
外気の相対湿度。気象データリーダーから相対湿度(Relative humidity, Percent relative humidity)の値を入力します。
TSKY
天空温度。建物外皮と天空との長波長放射の計算に使用します。気象データリーダーから天空温度(Effective sky temperature)の値を入力します。
ただし、拡張アメダス気象データ(Type99-AMeDAS)には、天空温度を出力する項目がありません。このためType33e 、Type69bを使って天空温度を計算し、Type69bのFictive sky temperatureを天空温度としてType56へ入力します。
TSGRD
建物外皮と長波長放射の計算に使用する地面温度。天空温度を除く、建物外皮と周辺すべてのサーフェースの温度として扱われます。通常は外気温の値を入力します。
AZEN
太陽天頂角。気象データリーダーから天頂角(Solar zenith angle)の値を入力します。
太陽天頂角と後述の太陽方位角については、リンク先を参照し下さい。
AAZM
太陽方位角。気象データリーダーから太陽方位角(Solar azimuth angle)の値を入力します。
Type56/AAZMは3D サーフェースデータおよび向きの定義を変更せずに、建物の方位だけを回転させる場合に使用できます。
例えば、45 度回転させる場合、「TURN = 45」と入力し、回転角度 (AAZM_Type56 = SolarAzimuthAngle – TURN) の値を入力します。
太陽方位角を使った建物の回転はリンク先を参照し下さい。
GRDREF
地表面反射率。建物周辺の地面の状態に合わせて設定します。(通常はInputの初期値として直接入力する)
一般的には0.2を指定。地表面が新雪など反射率の高い状態であれば、文献等を調査して適切な値を設定してください。
ここで指定された値は方位別日射の計算をInternalで行うか、Externalで行うかで扱いが異なります。
Internal
方位別日射量をType56内部で計算する方式(SketchUp/TRNSYS3Dで作成されたモデルはデフォルトでこの方式です)では、地表面反射の計算に使用されます。
External
方位別日射量をType56とは別の外部コンポーネントで計算する方式(External by another component)では、天空日射の計算に使用されます。
Externalを利用する例はあまりありませんが、建物外皮の日射量を直接指定したい場合(例えば、計算値や実測値を直接指定したい場合)には、この方式が利用できます。
注:TRNSYS 17 では、気象データリーダー (Type 15、16、99) からの地面反射は、入力の接続に関係なく、常にInternalで計算に使用されていました。建物の位置の条件は、気象データの観測点の位置の条件と異なる場合が多いため、TRNSYS 18 ではこれが変更されました。現在では、Internalの計算には入力 されたGRDREF が使用されます。
まとめ
- この記事ではType56の基本的なInput項目について解説しました。
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
- Windows11 Pro(64bit, 24H2)
- TRNSYS18.06.0002(64bit)