TRNSYSで昼光利用シミュレーション(2)Daysim,RadianceとTRNSYS

TRNSYS18の新機能、昼光利用シミュレーションでは、室内照度から照明負荷を制御、温熱環境のシミュレーションが行えます。昼光利用シミュレーションでは、Daysimを使用して室内照度の計算を行っています。

今回は、このDaysimについて掘り下げてみたいと思います。

Daysimとは?

光環境のソフトウェアとしては定番のRadianceをベースに作成された解析ソフトウェアです。

DAYSIM is a validated, RADIANCE-based daylighting analysis software that models the annual amount of daylight in and around buildings.

https://daysim.ning.com/ より引用

訳)DAYSIMは、建物内および建物周辺の年間日照量をモデル化した、検証済みのRADIANCEベースの昼光解析ソフトウェアです。

開発は、Christoph Reinhart氏を中心として、複数の組織で行われています。

The overall development of DAYSIM has been coordinated by Christoph Reinhart since 1998. The global illumination calculation in DAYSIM is based on the RADIANCE backward raytracer. Past and ongoing development work for DAYSIM has been conducted at

・Fraunhofer Institute for Solar Energy Systems (ISE)
・Harvard University
・Massachusetts Institute of Technology (MIT)
・National Research Council (NRC) Canada

https://daysim.ning.com/page/credits より引用

訳)DAYSIMの開発は、1998年以来Christoph Reinhartによってコーディネートされています。DAYSIMのグローバルイルミネーション計算は、RADIANCEのレイトレーサーに基づいています。DAYSIMの過去および現在進行中の開発作業は、以下の組織、団体で行われています。

そうそうたる開発体制です。ここに登場するChristoph Reinhart氏ですが、おそらくMITのこの方です。(間違っていたらすみません)

MIT
Christoph Reinhart

Radianceとは?

Daysimが使用しているRadianceは米国ローレンスバークレー研究所で開発された、レイトレーシング (ray tracing, 光線追跡法) のソフトウェアです。上述したように光環境の定番ツールです。

Radianceの詳しい情報は以下のリンク先を参照。

ローレンスバークレーのRaianceのサイト

Daysimとの関係は図のようなイメージのようです。Daysimの昼光解析はRadianceの機能によって実現されています。

DaysimはRadianceの機能を使って実装されている
DaysimはRadianceの機能を使って実装されている

Radianeceは、それ単独でも使用できるアプリケーションです。コマンドラインで詳細なオプションを指定して計算を行うことが可能です。

Daysimは、このRadianceの機能を使って、昼光解析を行っています。

TRNSYSのドキュメントでは、どちらも前置きなしに登場します。少々分かりにくい記述になっていますが、TRNSYS(というかType56/TRNBuild)からは、このDaysimを使って計算を行っています。

TRNSYSとDaysim

DaysimとTRNSYSは、図に示すような関係です。温熱と昼光の計算を相互にやり取りしながら処理を行います。

TRNSYS、Daysimで相互に計算処理
TRNSYS、Daysimで相互に計算処理

詳しくは前回の記事を参照。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.01.0001(64bit)

TRNSYSで昼光利用シミュレーション(1)計算のしくみ

TRNSYS18から昼光利用シミュレーション機能が追加されています。この機能では、室内の照度に合わせて、照明負荷の調整を行います。

例えば、オフィスなどでは日中は昼光を利用して、照明を抑えた温熱環境のシミュレーションが可能にします。積極的に昼光を利用した省エネ検討などが行えます。

この仕組みの解説資料を作り始めたのですが、これがまた設定項目が多い。まずは概念図的なものを作成しました。計算がどのように処理されるか、その仕組みを説明する図です。

TRNSYS昼光利用シミュレーションのしくみ
TRNSYS昼光利用シミュレーションのしくみ

図のように内部的にはDaySim(Radiance)を使った昼光シミュレーションと温熱のシミュレーションの連成を行っています。

以下、計算の流れをざっくり説明すると、

  1. 温熱シミュレーションで内部発熱、日射遮蔽(ブラインド)の条件を設定する。
  2. 日射遮蔽の条件に基づいて昼光シミュレーションで室内の照度を計算する。
  3. 室内照度から、照明負荷を調整(On/Off、もしくは調光)して温熱シミュレーションを行う。

そして再び 1. へ戻って計算を繰り返します。

この機能に関連して、照明負荷、日射遮蔽、そして昼光シミュレーションの設定項目が新たに追加されています。それぞれ詳細な設定があるのですが、それはまた別の機会という事で、つづく。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.00.0019(64bit)

昼光照明基準の講習会へ

昼光照明基準の講習会へ参加してきました。

日本建築学会環境基準 昼光照明規準 (AIJES-L0003-2018)

TRNSYS18から照明の計算では定番のRadianceの機能が取り入れられています。室内の照度に応じた室内発生熱のOn/Offの制御ができるようになりました。例えば、昼光で十分な照度が確保できていれば照明から負荷をOffに、曇天で照度が確保できなければ照明負荷をOnにして計算することができます。(とはいえ、本格的な照度の計算の検討は別途行った方が良いです。あくまで熱の計算の一環で照度を扱います)

とはいえ照明関係は分からないことだらけなので、情報収集のための参加です。

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で、講習はというと。。。

3セッションの構成でしたが、講師陣の要点を押さえた説明はすごく分かり易かったです。(こちらの知識が追いつかないので内容についていけていないのは内緒)

細かい話ですが、テキストの英訳付きの用語集は非常にありがたいです。TRNSYSの資料てすべて英語&専門用語なので、読み下すときに参考になりそうです。

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TRNSYS18の最新情報が。。。

TRANSSOLAR社(TRNBuildを開発しているドイツの会社です)のサイトを見たらTRNSYSの次期バージョン、TRNSYS18の情報が公開されています。 まったく予告なしだったので、正直びっくりです。詳細情報が届いていないので不明な点が多いのですが、事前になんとなく聞いていた範囲でご紹介します。

TRNBuild

新機能として日射関連の機能が大幅に増えます。光環境の計算では定番のRadianceの機能を取り込んだものになるようです。室内の照度がType56で計算できるようです。 TRNLizard(Rhino/Grasshopperプラグイン)で建物のパラメトリックスな形状モデリングにも対応するようです。(これ凝った意匠の検討とかできるのかな?すごくないですか?)

Kernel

64bit版の提供。計算が速くなりますが、周辺のコンポーネントも64bit化する必要があるので、しばらくは計算によって32bit/64bitが混在することになるかと。。。
工学系では人気のプログラミング言語Pythonへの対応もあるようです。どういう使い勝手になるのか楽しみです。(たまたま以前の記事でPythonに言及しましたが、まったくの偶然です)

Simulation Studio

出力関係の機能が増えるようです。既存の出力系はシンプルな機能なので、これはちょっと楽しみです。

TypeStudio

コンポーネントの新しい開発ツール?? しかし、分からないことが多すぎですね。しばらくすると詳しい情報が入ると思うので、またご紹介します。

TRNSYS 18 – NEW FEATURES

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RADIANCEはじめました(2)

地味にマニュアル読んでます。

What is Radiance?

Radianceという単独のプログラムは存在せず、複数のプログラムから構成されている。これって、UNIXワークステーションが使われていた頃には割と一般的に使われていた方法。

今になってはどういう経緯で見学に行ったのか思い出せないが、昔CGのプロダクション大手でツールのデモをしてもらったことがある。オペレーターというか制作の担当者がバチバチとコマンド入力して作業している姿に愕然としたことを思い出した。これが作っている映像のキレイさとのギャップがすごい。商業ベースで使われる映像の華やかさと、キーボードから入力される謎なコマンド。当時はあれで最先端だったはずなんだけど、今考えるとかなり人に厳しい。憶えるのに相当時間が掛かるはずだ。(当時もGUIを使ったツールは存在したんだけど、開発しながら映像を制作する現場だと、あれはあれで正解だったのかも)

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さて、Radianceである。図には10個ぐらいしか描かれていないが、ドキュメントによると100個以上のプログラムがあるらしい。組み合わせでとってもフレキシブルに使える。(ホントか?)
複数のコマンドをつなげたり、オプションで自由自在らしいので、楽しみである。いや楽しみじゃないな、これ。

Ray-tracing vs. Radiosity

Radianceでは他のレンダリングツールに比べて物体と物体の相互反射を厳密に計算するらしい。(レイトレーシング法による)これに対して一般的には ambient light(環境光?)を使って計算している。(簡易に計算して高速に処理している?)
Radianceって他のレンダリングツールと何が違うんだろう、というか他のツールで光の計算はできるんじゃない?って思ってたんだけど、このあたりが学術系で使われる理由でしょうか?

いまどきは商用ツールでも同じような事ができそうな気もするんだけど、残念ながらリサーチ不足でよく分からない。

読み始めたチュートリアルは約50ページ。現在3ページ目ぐらい。先は長い。

つづくか不安。

RADIANCEはじめました(1)

RADIANCEってなにやら高機能な雰囲気なのに、ホント情報が少ない。世界的に使われているツールなのでさぞや書籍(英文)はあるだろうとAmazon.comで探したら、まったくない。いや、探し方が悪いのかもしれないが、やっぱりない。(”RADIANCE”って普通によく使われる名詞なので検索するとアクセサリとか、小説とかキラキラななのがいっぱい引っかかってくる)
まあ、そういう事もあるのか、なにか納得がいかないがradiance-online.orgによると初心者向けにはチュートリアルあたりがおススメらしい。

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チュートリアルを紐解くとドキュメントを読む際のおススメが書いてある(下図)
入口がUNIXのドキュメントってあたりが時代を感じさせます。今となってはすでに初心者向きの内容じゃないないような。。。
とりあえずRadiance Tutorialが最初に読むには良さそうだという事が分かったところで本日終了。

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つづくかもしれない。

TRNSYSで昼光シミュレーション?

Githubをぶらぶらと眺めていたら、RadianceとTRNSYSを使った昼光シミュレーションのコンポーネントを見つけました。(試してないけどね)

EURAC-EEBgroup/TypeDLT-for-TRNSYS

2016-04-27_09h17_42

User GuideによるとRadianceの他、WINDOW7.3(Windowsじゃないですよ、LBNLのWINDOWです)、SketchUp、それにPerlの環境も必要になるようです。気軽に試す感じではないですが、昼光利用を検討される向きには面白いツールかも知れません。

個人的にはC/C++で書かれたコンポーネントらしいので、そっちの方が気になる。。。(C/C++サンプル少ないからねー、ってソースコード読んでみたらgccで書いてあるっぽいんで、これはこれで珍しい。)

ODS Studioを試してみる

オープンソース系のツールから構成されるODS Studioっていうソフトウェアがあります。

オーストラリアのODS Engineeringが開発中のものなんですが、数日前からAlphaバージョン(取り合えずの機能実装版)のリリースが始まりました。

EnergyPlus, OpenFOAM, RADIANCEとおなじみのツールのフロントエンドして機能するようです。

で、早速ダウンロードしてみた。ファイルを解凍すると。。。

なにこれ?( ゚д゚ )ポカーン

なんかスクリプトしか出てこない。。。

どうも、なんかのプラグインっぽい。

しょうがない(しょうがなくもないけど)ので、まじめにドキュメントを読み始めたら、これってBlenderのプラグインとして実装されているんですね。(こういう大事な話はトップページに書いとけよ。。。)

ということで、今度はBlenderをインストールしてみる。

とは言え、そもそもBlenderの使い方が分からないのでチュートリアルから取組中。なかなか本題にたどり着けません。

建築じゃありえない形状を作成中。

しかし、Blenderってボタンだらけで、ビギナーにはプレッシャーな画面ですね。どうせならSketchUpにしてくれないかな。。。

つづく。

LEADインストールガイド作成中

インストールガイドを、電子書籍形式にしてみようかと、試しております。

Pagesから、なぜかEPUB形式でうまく書き出せななかったので、PDF形式にしたインストールガイドをiPad/iBookで表示しているところ。

ブログの記事を再編集してまとめたところ30ページあまりのページ数になってます。ちと長過ぎか?

ちなみに肝心のESP-r、Radianceについてはインストーラーのテスト中につき、まだ書き上っていません。

この部分の原稿は外注(もう一人のメンバー)のテスト待ちですが、本業で忙殺されているため、もうすこし時間がかかりそうです。