TRNBuildの設定項目の訳語を考える

3月に入り、年度末の慌ただしさも落ち着いてきました。少し時間的に余裕もでてきたので、TRNSYSのチュートリアルの和訳作業を再開しています。

今回は、その和訳作業中のチュートリアルからTRNBuildの設定項目のお話です。

TRNBuildの設定項目

下の図は Heating type で set temperature(暖房設定温度) を設定している画面です。T設定でよく見かける画面ですが、TRNBuildには値の指定方法としてConstant value(固定値)、Input(外部からの入力値)、Schedule(スケジュール)の3種類が用意されています。

この3種類の指定は設定温度に限らず、TRNBuildでは頻繁に登場します。

TRNBuild、 Heating typeの設定画面
TRNBuild、 Heating typeの設定画面

下の図は暖房設定温度をInputで設定している画面ですが、さて、ここで問題です。図の矢印の部分はなんと呼ぶでしょう?

TRNBuildのInput
TRNBuildのInput

TRNBuildのInputは一次関数

残念ながらTRNSYSのドキュメントでは特に呼び名は明記されていません。でも、よく見るとInputは y=ax+b のような一次関数になっています。

素直に名前を付けると、それぞれ「傾き」と「切片」です。

傾きと切片?
傾きと切片?

これをドキュメントの説明文で使うとなにかしっくりきません。(数学の教科書風になってしまって日本語として変な感じになります)

ちなみに原文ではmultiplier、additive valueとか multiplication factor, addition factorと表記が安定していません。

しばし悩みましたが、日本語はそれぞれ係数加算値という表現にまとめました。

係数と加算値
係数と加算値

この訳を決めるのに約半日。なかなか作業が進みません。なるべく分かり易い日本語にすべく奮闘中です。

つづく。

TRNSYSで昼光利用シミュレーション(2)Daysim,RadianceとTRNSYS

TRNSYS18の新機能、昼光利用シミュレーションでは、室内照度から照明負荷を制御、温熱環境のシミュレーションが行えます。昼光利用シミュレーションでは、Daysimを使用して室内照度の計算を行っています。

今回は、このDaysimについて掘り下げてみたいと思います。

Daysimとは?

光環境のソフトウェアとしては定番のRadianceをベースに作成された解析ソフトウェアです。

DAYSIM is a validated, RADIANCE-based daylighting analysis software that models the annual amount of daylight in and around buildings.

https://daysim.ning.com/ より引用

訳)DAYSIMは、建物内および建物周辺の年間日照量をモデル化した、検証済みのRADIANCEベースの昼光解析ソフトウェアです。

開発は、Christoph Reinhart氏を中心として、複数の組織で行われています。

The overall development of DAYSIM has been coordinated by Christoph Reinhart since 1998. The global illumination calculation in DAYSIM is based on the RADIANCE backward raytracer. Past and ongoing development work for DAYSIM has been conducted at

・Fraunhofer Institute for Solar Energy Systems (ISE)
・Harvard University
・Massachusetts Institute of Technology (MIT)
・National Research Council (NRC) Canada

https://daysim.ning.com/page/credits より引用

訳)DAYSIMの開発は、1998年以来Christoph Reinhartによってコーディネートされています。DAYSIMのグローバルイルミネーション計算は、RADIANCEのレイトレーサーに基づいています。DAYSIMの過去および現在進行中の開発作業は、以下の組織、団体で行われています。

そうそうたる開発体制です。ここに登場するChristoph Reinhart氏ですが、おそらくMITのこの方です。(間違っていたらすみません)

MIT
Christoph Reinhart

Radianceとは?

Daysimが使用しているRadianceは米国ローレンスバークレー研究所で開発された、レイトレーシング (ray tracing, 光線追跡法) のソフトウェアです。上述したように光環境の定番ツールです。

Radianceの詳しい情報は以下のリンク先を参照。

ローレンスバークレーのRaianceのサイト

Daysimとの関係は図のようなイメージのようです。Daysimの昼光解析はRadianceの機能によって実現されています。

DaysimはRadianceの機能を使って実装されている
DaysimはRadianceの機能を使って実装されている

Radianeceは、それ単独でも使用できるアプリケーションです。コマンドラインで詳細なオプションを指定して計算を行うことが可能です。

Daysimは、このRadianceの機能を使って、昼光解析を行っています。

TRNSYSのドキュメントでは、どちらも前置きなしに登場します。少々分かりにくい記述になっていますが、TRNSYS(というかType56/TRNBuild)からは、このDaysimを使って計算を行っています。

TRNSYSとDaysim

DaysimとTRNSYSは、図に示すような関係です。温熱と昼光の計算を相互にやり取りしながら処理を行います。

TRNSYS、Daysimで相互に計算処理
TRNSYS、Daysimで相互に計算処理

詳しくは前回の記事を参照。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.01.0001(64bit)

TRNSYSとMatlab

TRNSYSにはMatlabと連携するType155が用意されています。下の図はサンプルのモデルですが、太陽熱集熱パネルの計算にMatlabを使用しています。

"C:\TRNSYS18\Examples\Calling_Matlab\Calling Matlab.TPF" より
“C:\TRNSYS18\Examples\Calling_Matlab\Calling Matlab.TPF” より

Type155について

Matlabを使用する場合、TRNSYSとMatlabのバージョンの組み合わせごとに専用のType155が必要です。

さらに、どちらも32bit, 64bitの2種類があります。こちらもTRNSYS, Matlabで種類を合せる必要があります。

TRNSYS17は32bitアプリケーションのため、連携するMatlabも32bit版が対象になっています。TRNSYS18は64bitアプリケーションなので連携するMatlabも64bit版が対象になります。

32bit,64bitの組み合わせを簡単にまとめると次の表のようになります。

バージョンMatlab
TRNSYS17(32bit)Matlab 32bit版
TRNSYS18(64bit)Matlab 64bit版

Matlabのバージョン

Matlabって半年間隔で新しバージョンがリリースされます。下の表はここ数年のリリースです。この表には2018年以降が記載されていませんが、たぶんリリースされています。(気になる方は販売店へ問い合わせてみて下さい)

Matlabのバージョン
Matlabのバージョン(Wikipediaより引用 https://ja.wikipedia.org/wiki/MATLAB)

TRNSYSと連携する場合、それぞれのバージョンに対応した専用のType155が必要になります。バージョンの他、上述したように32bit/64bitの違いもあるので注意が必要です。

例えば、TRNSYS18とMatlab R2016bを組み合わせて使用する場合、Matlabも64bit版、Type155もR2016b対応の64bit版が必要です。

組み合わせが多いため、もしType155を使用される場合はサポートまでお問い合わせ下さい。おそらく適切なType155を個別対応でご提供することになります。

TESS LibraryのTRNSYS18対応について

TRNSYS18がリリースされてしばらく経ちますが、TESS Library(以下、TESS Lib)についての情報です。

TESS LibはTRNSYS17, 18で機能的には同じです。計算内容に変更はありません。

ただし、TRNSYS17からTRNSYS18へのバージョンアップで64bit化されています。このため、以前にTRNSYS17用として購入されたTESS Lib(32bit版)は、TRNSYS18では動作しません。

TRNSYSのバージョンとTESS Libの組み合わせは以下のようになります。

バージョンTESS lib
TRNSYS1732bit版
TRNSYS1864bit版

TESS Lib 64bit版の提供について

TRNSYS17用に購入されたTESS Libをお持ちであれば、TRNSYS18対応の64bit版は無償提供の対象になります。

通常、TRNSYS18のバージョンアップをお届けする際に、すでにTESS Libをお持ちのお客様へは、64bit版TESS Libを同梱しています。(もし、届いていなかったらサポートの窓口まで連絡下さい)

TRNSYSでPMVのDetailed modeの設定

同じ建物の部屋でも、窓付近と部屋の奥側の評価をしたいケースって有りますよね?

PMVで評価する場合、TRNSYSの計算では、MRT(平均放射温度)の計算方法を指定した計算が可能です。以前に紹介したPMVの計算では、MRTは面積按分で計算していました。今回は室内の位置による影響を考慮して計算する方法の紹介です。(Comfort typeやOutputの指定は前回の投稿を参照して下さい)

MRT(平均放射温度)

さて、MRTとは。。。

(エ) 熱放射 

周囲の表面温度が低ければ気温が高くても快適になる。 その放射環境を表現するた めに、平均放射温度という概念が用いられる。 平均放射温度(MRT)とは、周囲の 全方向から受ける熱放射を平均化した温度表示を言う。

以上、環境省のサイトより引用

ということで、このMRTの計算方法を指定します。

下の図は実際にPMVの計算にMRTを指定した例です。Detailed modeを選択して、MRTを計算する位置を指定しています。後述しますが、この例では同じ室内で4箇所のPMVを計算しています。

MRTの計算位置の指定
MRTの計算位置の指定

設定方法

Detailed modeではMRTを計算する位置の情報が必要になります。これで窓側とか部屋奥の指定を行います。MRTの計算位置の指定は次の手順で行います。

  1. 計算位置をGeoPositionを使って定義する。
  2. ZoneへComfort type, GeoPositionを割り当てる

では設定を始めます。

GeoPositionの定義

例によって2室モデル演習のモデルを使用します。図のように窓際から1m間隔でGeoPositionを4つ定義します。

GeoPositionの配置位置
GeoPositionの配置位置

図の配置位置に合せてGeoPositionを追加します。

  1. Navigatorの「Geo-Info」をダブルクリックして設定画面を表示する
  2. Point Geometryで「gain, comfort」を選択する
  3. 」ボタンをクリックして、新しいGeoPositionを追加する
  4. GeoPositionを配置するZoneを選択する
  5. Comfort typeで使用するため、「comfort」を選択する
  6. 配置する位置を座標で指定する※

※座標は上の平面図の左下隅が座標原点(0/0/0)です。図面に合せて位置を指定します。高さは任意ですが、ここでは高さ1mで統一します。

GeoPositionを追加する
GeoPositionを追加する

ZoneへComfort type、GeoPositionを割り当てる

ZoneへComfort typeを割り当てる際に、「detailed mode」を選択して、GeoPositionを割り当てます。

ZoneへComfort type, GeoPositionを割り当てる

これでGeoPositionの指定は終了です。あとはOutputを追加して計算を行います。

ということで、図はPMVの計算結果を出力した例です。(2月下旬の2日間を抜粋)

PMVの計算結果
PMVの計算結果

同じ建物、 同じ室内でも位置によって異なる結果になっていることが分かります。 このようにGeoPositionを指定することで、室内の位置による快適性の計算が行えます。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

Windows10 Pro(64bit, 1809)
TRNSYS18.01.0001

TRNSYSの換気連成計算の仕組み

TRNSYSの換気連成モデル

連成計算って何か難しく聞こえますが、仕組みとしては単純です。TRNSYSの換気連成の仕組みを見てみましょう。

図はTRNSYSのCONTAMを使った換気連成のサンプル(C:\TRNSYS18\Examples\Calling_Contam\CombinedThermalAirflow.tpf)です。Type56とCONTAMのコンポーネントが相互に接続されています。

BuildingとCONTAMの接続
BuildingとCONTAMの接続

接続関係を見ていきます。

Building(Type56)→CONTAMへの接続

BuildingからCONTAMへは、Type56で計算された室温の計算結果が接続されています。この室温を受け取ったCONTAM側では、この値を使って外気、室間との換気を計算します。

Type56からCONTAMへの接続
Type56からCONTAMへの接続

CONTAM→Building(Type56)への接続

次は、逆にCONTAMからBuildingへの接続です。CONTAMで計算された換気量をBuilding(Type56)へ引き渡しています。この例では各Zoneの外気との換気量、Zone間の室間換気量の計算をType56へ引き渡しています。

CONTAMからType56への接続
CONTAMからType56への接続

Building(Type56)の内部の設定

Type56が受け取った値がどのように使われているか、TRNBuildで設定を見ていきます。

図はZone(MAINZONE)に割り当てられているInfiltration type(漏気)の設定です。CONTAMから受け取った値を換気回数として扱っています。

Infiltration typeの設定
Infiltration typeの設定

Zone間の換気量(室間換気)は、隣接するZoneからのCoupling air flowとして扱っています。

隣接するZoneからの換気量
隣接するZoneからの換気量

このようにCONTAMの計算結果をInfiltration typeとCoupling air flowで処理して、温熱計算、室温の計算結果を再度CONTAMへ渡す繰り返しです。

ほらね、連成って仕組みとしてはごく単純です。却って、CONTAMでモデルを作成する方が大変かも知れません。

Type56と他のシステムを組み合わせる場合も、基本的に同じ考え方です。

例えば空調システムと組み合わせる場合は、Type56からは室温、湿度を渡し、逆に空調システムからは風量や、温度、湿度をType56へ渡します。Type56では、これらの値をVentilation type(機械換気)で処理します。

ヒートコンベクターなど、直接室内で使用する機器であれば熱源としてGain/Loss typeで処理することができます。

Type56はInputで受け取ったデータを、各種の設定として利用できるようになっています。工夫次第で様々なシミュレーションに対応することができるのです。

TRNSYSでPMVを計算する

建物の温熱環境の評価として、快適性指標が使われる事があります。

TRNSYSの快適性指標

TRNSYS,TRNBuildでは、以下のような快適性指標の計算が行えます。

  • MRT 平均放射温度
  • OT   作用温度
  • PMV  予想平均温冷感申告
  • PPD  予想不満足者率

この中から、比較的よく使われるPMVの設定方法について解説します。

PMVとは?

PMVは人間の感覚量から物理的考察に基づいて温熱快適性を表示したもので、1967年にデンマーク工科大学のオレ・ファンガー(英語版)によって提唱された。温冷感を決定する環境側の4要素(気温[℃]・湿度[%]・風速[m/s]・熱放射[℃])に、人体側の2要素(代謝当量(英語版)[met]・着衣量[clo])を加えて考慮する。PMVでは、PMV=0の状態を熱的中立とし、-3から3のあいだで人間の温熱快適性を表現する。なお、極端に過酷な環境下ではPMVは適応できない。

Wikipediaより引用

ということで、計算にはいくつか値が必要です。気温、湿度など通常、Type56が計算する値の他、風速、met, cloなどの値が必要になります。

TRNBuildでは、これらの値を Comfort typeで扱います。(PMVを出力する前提としてComfort typeの定義が必要です)

次の順序で設定します。

  1. clo, metなどPMVの計算に必要な値をComfort typeとして定義する
  2. PMVを計算したいZone(Airnode)へComfort typeを割り当てる
  3. OutputsへPMV(PMVLV、Ntype124)を追加する

Comfort typeを定義する

TRNBuildの画面で操作します。

  1. Comfort typeのアイコンをクリック
  2. 表示された画面の右下の「N」ボタンをクリックする
「N」ボタンで新しいComfort typeを追加する
「N」ボタンで新しいComfort typeを追加する

名前の入力画面が表示されるので、分かりやすい名前を入力します(この例ではデフォルトのままです)

新しいComfortTypeの名前を入力する
新しいComfortTypeの名前を入力する
  1. Clo,Metなどの値を確認、必要に応じて値を変更する
  2. 「✔」ボタンをクリックして、画面を閉じる
Clo,Metなど値を確認する
Clo,Metなど値を確認する

それぞれの値については、ドキュメントの「5.2.4.9. Comfort」に参考値が記載されています。

以上で、Comfort typeの作成は終了です。次は、Zoneへ作成したComfort typeを割り当てます。

ZoneへComfort typeを割り当てる

PMVを計算するZoneへComfort typeを割り当てます。対象のZoneの設定画面を開いて、次にように設定します。

  1. Comfort typeのアイコンをクリック
  2. 表示された画面で、「+」ボタンをクリックしてComfort typeを追加する
  3. リストから、先ほど作成したComfort typeを選択する
  4. 「✔」ボタンをクリックして画面を閉じる
ZoneへComfort typeを割り当てる
ZoneへComfort typeを割り当てる

MRT(Mean Radiant Temperature)の計算方法を指定する事も可能です。デフォルトでは「simple model」が選択されていますが、「detailed mode」で、GeoPositionを使った詳細な計算も可能です。
参考:TRNSYSでPMVのDetailed modeの設定

Outputの指定

Outputの設定画面で、PMVの出力を追加します。

  1. リストから計算対象のZoneを選択する
  2. 「←」ボタンをクリックして、Zoneを「Selected “Thermal Airnodes”」へ追加する
  3. 「comfort outputs」を選択する
  4. リストから「PMVLW」(NType 124)を選択する
  5. 「←」ボタンをクリックして出力を追加する
  6. 「PMVLW」をダブルクリックする
PMV(PMVLW)の出力を追加する

ここで、さらに設定画面が表示されます。つづいて次のように設定します。

  1. リストからComfort typeをクリックして選択する
  2. 「←」ボタンをクリックして、”Selected “Comfort Definitions””へ追加する
  3. 「✔」ボタンをクリックして画面を閉じる
PMVの出力へComfort typeを割り当てる
PMVの出力へComfort typeを割り当てる

以上で、設定は終了です。

Simulation Studioへ戻って、「Update building variable list」を実行すると、Outputsの項目にPMVの出力が追加されます。

あとはType65などでグラフへ出力して、計算結果を確認すればOKです。PPDの計算も同じ方法で追加できます。

これで快適性指標を使った室内環境の評価が可能になります。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

Windows10 Pro(64bit, 1809)
TRNSYS17.02.0005

TRNSYSのバージョン情報と確認方法

TRNSYSは数年ごとに大規模なバージョンアップが行われます。それとは別に、日常的な小規模な改善や修正を行ったアップデートが年に数回程度実施されます。

バージョンは小数点で区切られた 18.01.0001 のような形式です。数字の意味は、概ね以下のような感じで変わります。

変更数字
大規模最初の数字18.00.0001
中規模真ん中の数字
18.01.0001
小規模最後の数字18.00.0015

Simulation Studioでバージョン確認

Simulation Studioを起動して、メニューから確認します。

  1. メニューから[?]-[About]を選択する
  2. 表示されたダイアログの下部の「Trnsys version」の項目を確認する
TRNSYSのバージョンを確認する
TRNSYSのバージョンを確認する

サポートへお問い合わせいただく際は、このバージョンもお知らせいただけると対応しやすくなります。

TRNSYSと換気計算の連成

建物の温熱シミュレーション

TRNSYSで多数室モデル、いわゆる建物の温熱計算はType56(TRNBuild)を使って行います。暖冷房負荷の計算や、設備機器との組み合わせの計算に便利なモジュールです。

建物のシミュレーションでは条件として外気からの換気の負荷を設定する必要がありますが、通常は換気量を「条件」として計算を行います。例えば、住宅などであれば省エネ法に基づいた0.5回/hを固定の条件として設定します。

この条件として設定する方法は、換気の効果、例えば窓開けの効果を検討するようなケースも、換気回数を増やした条件に変えることで対応することができます。

とはいえ、風向や風速の影響や、建物の気密性など、より詳細な換気を検討する場合には換気計算が必要になります。

換気回路のシミュレーションとの連成

TRNSYS、Type56は上述したように、温熱計算のモジュールです。換気の計算は別途、換気計算のツールと組み合わせて計算を行います。

概ね以下のように処理します。

  1. 換気回路のシミュレーションで風向、風速や建物の気密性、換気ファンなどの機器、それに室温などにもとづてい換気量を計算する。
  2. Type56では、その換気量を外気、室間の換気として扱い、その他の条件とともに室温を計算します。
  3. 室温は換気にも影響を与えます。例えば、室間や吹き抜けの温度差によって換気に影響します。Type56の室温は、再び換気回路の計算へ引き渡されます。(1.へ戻って繰り返します)

このように温熱、換気の結果を相互に利用して連成計算を行います。

換気回路のシミュレーション

TRNSYSには連成可能な換気回路のシミュレーションがいくつかあります。

TRNFlow

TRNSYS,TRNBuildのオプション。TRNBuildと統合されています。温熱のモデルに対して換気回路の条件を設定することで連成計算を行います。温熱と換気のモデルをまとめ扱えます。

TRNFlowのサンプル
"C:\TRNSYS18\Examples\TRNFLOW_example\Restaurant_TRNFlow.tpf"
TRNFlowのサンプル
“C:\TRNSYS18\Examples\TRNFLOW_example\Restaurant_TRNFlow.tpf”

TRNFlowはType56に統合されているため、見た目には通常の温熱計算のモデルのように見えます。

CONTAM

NIST(National Institute of Standards and Technology、アメリカ国立標準技術研究所)が開発、提供する換気シミュレーションプログラム。https://www.nist.gov/services-resources/software/contam

TRNSYSとの連成はType97を使用します。サンプルも標準(C:\TRNSYS18\Examples\Calling_Contam)で添付されています。

サンプル C:\TRNSYS18\Examples\Calling_Contam\CombinedThermalAirflow_AHU.tpf

CONTAMのサンプル
C:\TRNSYS18\Examples\Calling_Contam\CombinedThermalAirflow_AHU.tpf

図から分かるように、Type56とType97(CONTAM)を相互接続して連成計算を行います。建物の計算と、換気のモデルを分けて計算を行います。

MATHIS

フランス、cstb(フランス建築科学技術センター) が開発する換気計算シミュレーション。cstbはTRNSYSのSimulation Studioの開発元です。このため、TRNSYSのプロジェクト作成時のオプションとしても用意されています。

Mathisのオプション
MathisとTRNSYSの連成

上記のように、TRNSYSは3種類の換気回路のシミュレーションツールに対応しています。それぞれ、分かり易いサンプルも用意されています。

このように温熱と換気を組み合わせることで、より詳細な計算が可能になります。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

Windows10 Pro(64bit, 1809)
TRNSYS18.01.0001(64bit)

Online Plotter Type65 の使い方

Type65 Online Plotterのアイコン

Type65の種類と使い分け

計算結果の出力に何かと便利な Online Plotterこと、Type65には複数バージョンが用意されています。慣れないうちは、どれを選んで良いのか不安になる箇所でもあります。

少しずつ動きかが違うので、簡単にまとめると次の表のようになります。

image

基本的には、ファイル出力するか、しないかの違いです。さらに、ファイル出力する場合は、一緒に単位系を書き出すか、書き出さないかの違いになります。

どれにするか悩んだときは、ファイル出力も、単位もまとめて処理する全部入りのType65cがオススメです。

以下、いくつか補足です。

ファイル名

デフォルトのファイル名は「プロジェクト名」+「.plt 」になっています。例えば、プロジェクト名が Begin.tpf では、出力されるファイル名は Begin.plt になります。

ファイル形式はスペース区切で出力されます。そのままだとExcelで扱いにくいので、一般的になCSV形式に変更しておくのがオススメです。

参照:「TRNSYSの計算結果をCSV形式で保存するTIPS

複数配置

Type65って複数配置しても、画面を集約して表示します。図のようにタブ形式で配置されたType65を表示します。

図のようにType65を2個配置して実行すると。。。

Simulation StudioへType65を複数配置

配置されている個数分だけグラフがタブ表示されます。

Type65を複数配置したグラフ表示
Online Plotterの表示例

デフォルトは名前がすべて”Graph 1”になります。Type65を複数使う場合は、区別が付きやすいように名前を変更しておきましょう。設定は「Special Cards」タブで行います。(下図)

ここで設定した名前が、グラフのタブに表示されます。

Type65 Online Plotterの設定画面

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

Windows10 Pro(64bit, 1809)
TRNSYS18.01.0001(64bit)