TRNFlowのエラーと対策(換気回路)

TRNSYSには、換気回路のオプション、TRNFlowが用意されています。このオプションでは多数室モデルのデータ(Type56/TRNBuild)を基に換気回路の情報を構成することができます。温熱に加えて、同じモデルで自然換気や機械換気の影響を考慮した連成計算を行う事ができます。TRNFlowで換気回路網を構成していると、温熱の計算とは違った種類のエラーが発生するケースがあります。

換気回路は1つのネットワークで構成する

TRNBuildでファイルを保存する際に図のようなメッセージが表示されることがあります。下図は「C:\TRNSYS18\Examples\TRNFLOW_example」のサンプルを意図的にエラーが発生するように編集して保存しようとした際の画面です。

TRNFlowのエラーメッセージ
TRNFlowのエラーメッセージ

エラーメッセージ

The airlink network is not properly connected.
All Airflow nodes must be connected in ONE network.
Please check the INF-file for future information.

和訳

エアリンクネットワークが正しく接続されていません。
すべてのエアーフローノードが1つのネットワークに接続されている必要があります。
詳しい情報については、INF ファイルを確認してください。

エラーの原因

この例では、換気回路が1つにまとまっていない構成になっています。(複数の換気回路で構成されています)メッセージに従って、INFファイルをメモ帳などで開くと、次のような箇所が見つかります。

TRNFLOW (2003-06-04) based on COMIS 3.1

Copyright (C) 2001 EMPA

-------------------------------------------------------

NETWORK ERROR

All zones should be connected, but here are 2 isolated groups of zones.
You have to add links, or delete not-used zones from &-NET-ZONes.
You have to add at least 1 link between those groups.
Zones in group 0 are not in &-NET-LIN or are connected only toknown pressure(s).

Here follow the zones and the group they are in.
Zone Group Zone name:
1 1 DINING
2 2 KITCHEN
3 1 STORAGE
4 2 AN_001
5 2 AN_006
6 2 AN_005
7 2 AN_002
8 2 AN_003
9 2 AN_004

----------------------------------------------------------------

COMIS MESSAGE ***** ERROR *****The Network is not properly connected:

エラーメッセージの部分を抜き出してみます。

All zones should be connected, but here are 2 isolated groups of zones.
You have to add links, or delete not-used zones from &-NET-ZONes.
You have to add at least 1 link between those groups.
Zones in group 0 are not in &-NET-LIN or are connected only to known pressure(s).

すべてのゾーンは接続されている必要がありますが、ここでは2つの孤立したゾーンのグループがあります。
リンクを追加するか、&-NET-ZONesから未使用のゾーンを削除してください。
これらのグループ間に少なくとも1つのリンクを追加しなければなりません。
グループ0のゾーンは&-NET-LINに入っていないか、既知の圧力にしか接続されていません。

換気回路は1つにまとまっている必要がありますが、このメッセージから2つの独立した換気回路のグループが存在していることが分かります。

さらにメッセージを読み進めると次のような箇所があります。ここでどのようなグループ構成になっているか確認できます。

Zone, Group and Zone name

図の赤枠部分の番号がグループ番号です。No.1とNo.2の2つのグループが存在しています。(注:この例ではグループ番号が1から始まっていますが、モデルによっては0、もしくはそれ以外の番号が表示されます)

分かり易いように色分けしていますが、DININGSTORAGEのグループ(No.1)とそれ以外のグループ(No.2)に分かれています。

換気回路網を図に描いてみると、下の図のようになります。

エラーのモデル
エラーのモデル

一見1つの換気回路にまとまっているように見えますが、良く見るとDININGとSTORAGEのグループと、それ以外のグループがExternal nodeで分断されています。
(External nodeを共有しているので、回路としてつながっているように見えますが、Zone間はつながっていません。外気から建物に2系統の換気回路が出来上がっています。)

2つの換気回路が存在する
2つの換気回路が存在する

注:完全に2つの独立した換気回路になっているケースもあり得ます。

対策

建物内のThermal zoneが1つの換気回路で構成されるように修正します。KITCHENからDINING、もしくはSTORAGEとLarge OpeningやCrackなどを介してつないで、1つの換気回路網として構成します。

下図は「C:\TRNSYS18\Examples\TRNFLOW_example」の本来の換気回路網の例です。このように1つの換気回路でまとまるように構成します。

換気回路が1つのモデル
換気回路が1つのモデル

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.00.0019(64bit)
TRNFlow 1.4

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