TypeStudioで作るTRNSYSコンポーネント(2)

Proforma(プロフォルマ)の作成

さて、まずはじめにコンポーネントを作成する前にProformaを用意します。普段はあまり意識しないProformaですが、Simulation Studioでコンポーネントとして見ているアイコンの実体がProformaです。

Simulation Studioにアイコンとして表示されるProforma
Simulation Studioにアイコンとして表示されるProforma

そもそもProformaって何?

Simulation Studioでコンポーネントの設定で使う図のような画面(Variables Window)が表示されますが、この画面に表示される内容を定義しているのがProformaファイル(拡張子.TMF)です。

Type65のVariable Window
Type65のVariable Window

TRNSYSのコンポーネントの実体はFORTRANのサブルーチン(C言語だと関数)に相当します。ProformaはSimulation Studioの画面とサブルーチンのデータ(Parameters,Inputs,Outputs)の橋渡しルールを定義しています。

計算式の準備

まずは、これから作成するコンポーネントの式を用意します。今回はドキュメントに載っているシンプルなヒーターの式を例にProformaを作成します。

簡単なヒーターの計算式
簡単なヒーターの計算式

Tset  設定温度
Tin    入口温度
m      流量
Cp     比熱
Q      負荷

TRNSYS18, Vol.7 Developer’s / Programmer’s Guide,  p7-17, Eq.7.3.1-1 より

さて、この式を元にコンポーネントのProformaを作っていくわけですが、はじめにそれぞれの値をPrameter,Input,Outputに割り当てていきます。

Qは計算結果なのでOutputで問題なさそうです。m, Tset, Tinは時系列で変化する値としてInputに割り当てます。Cpは時系列で変化するならInputで、それほど影響がないようであれば固定値でParamterで扱います。今回はParameterで扱うことにします。

値の割り当てを整理すると次の表のようになります。

NameRoleDimensionUnitDef.
minputFlow Ratekg/hr100.0
TsetinputTemperatureC50.0
TininputTemperatureC20.0
CpparameterSpecific HeatkJ/kgK4.190
QoutputPowerkJ/hr0.0

※デフォルト値(Def.)はInputでは初期値として使われるので、それっぽい値に設定します。Cpはここでは水の比熱です。

Proformaを作成する

Simulation StudioでProformaを作成します。

① メニューから[File]-[New]を選択する。
② 表示されるウィンドウで「New Component」を選択して、
③ Createボタンをクリックする。

Simulation StudioでNew Componentをクリック
Simulation StudioでNew Componentをクリック

Proformaのウィンドウが表示されるので、式に合せて設定を行います。はじめに「General」タブのType Numberの項目にType番号を指定します。ここでは201を指定してください。

Type番号の指定
Type番号の指定

次に、「Variable」タブで、「Variables(Parameters, Inputs, Outputs, Derivatives)」ボタンをクリックして、設定画面を表示します。

Inputの項目を追加します。「Inputs」タブを選んで、画面右のAddボタンをクリックして新しい項目を追加します。

Addボタンをクリックして、Inputを追加する
Addボタンをクリックして、Inputを追加する

先ほどの表に合せてInputsの項目を3つ追加、設定します。

Inputsを3個追加する
Inputsを3個追加する

つづいて、同じように「Outputs」タブで項目を一つ追加、設定します。

Outputを追加
Outputを追加

そして最後に「Parameters」タブで項目を一つ追加、設定したらOKボタンをクリックしてウィンドウを閉じます。

Paramterを追加
Paramterを追加

メニューから[File]-[Save]を選択してProformaを保存します。
① 保存先として新しいフォルダ”C:\TRNSYS18\Studio\Proformas\MyComponents “を作成します。
② ProformaをType201Heater.tmfという名前で保存します。

作成したProformaを保存する
作成したProformaを保存する

Simulation Studioのメニューから[Direct Access]-[Refresh tree]を選んで、ツールバーにType201Heaterが表示されればProformaの完成です。

新しく作成したProformaが表示される
新しく作成したProformaが表示される

この段階で、すでにコンポーネントとして配置、他のコンポーネントと接続できる状態です。ただし、実行してみると図のようなエラーになります。

Proformaは出来上がったものの、コンポーネントの本体、つまり計算処理の部分は作成されていないためエラーになります。

コンポーネントが未実装なので、実行するとエラーが表示される
コンポーネントが未実装なので、実行するとエラーが表示される

次回は、計算処理の部分を作成します。つづく。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.00.0019(64bit)

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