凹型Zoneのモデリング

TRNSYS3Dで多数室モデルを作成する場合、ドキュメントでは凸型(Concave)の形状にするよう記載されてます。

TRNSYSの多数室モデル(TRNBuild/Type56)では、放射(輻射)の計算は室内の面通しが見通せる状態を前提にしています。図のように凹型(Concave)形状は見通せない箇所が発生するため、計算が行えません。

凸型(Convex)と凹型(Concave)
凸型(Convex)と凹型(Concave)

上の図は、ちょっと形が分かりにくいのですが、建物では下の図のようなL字型(凹型/Concave)が該当します。LDKなどで割と良くある形状です。壁が見通せない位置関係になってしまうため、放射の計算が処理できなくなります。

L字型のZone
L字型のZone

この形状のZoneへRadiation modeを設定すると、TRNBuildがファイルを閉じるタイミングで図のようなエラーが発生します。

TRNBuildでファイルを保存しようとすると...
Please, check the log file for further informaiton
TRNBuildでファイルを保存しようとすると…
Please, check the log file for further informaiton

詳しい原因はlogファイルに書き出されています。少々長いので、設定したRadiation mode別に大事な部分だけ抜き出すと。。。

  • Beam radiation distribution / Detailed mode
*** Fatal Error at time   :         0.000000
    Generated by Unit     : Not applicable or not available
    Generated by Type     : Not applicable or not available
    TRNSHD Message     14 : The internal solar distribution did not sum up 1. Make sure that the zones with detailed beam radiation mode are CONVEX and CLOSED!!
    Reported information  : Not available
  • Diffuse radiation distribution / Detailed mode
  • Longwave radiation exchange within a zone / Detailed mode
Error while creating VFM file.
+++ Note: Zones have to be convex and closed volumes.
          Surfaces must have an outwarding normal.

と、このようなメッセージが書き出されます。どちらも形状がConvex(凸型)になっていないのが原因です。

ところで、Zoneはともかくとして、Airnodeで2つの矩形に分ければ良さそうな気もします。でも、残念ながら放射の扱いはZone単位で処理されるので、やっぱりエラーになります。

L字型のZoneをAirnodeで2つに分ける
L字型のZoneをAirnodeで2つに分ける
ZoneとAirnode

モデリングのヒント(1)Standard model

Radiation modeをすべてStandard modelに設定します。凹型の形状がエラーの原因になるのは各Radiation modeでDetailed modelが選択された場合です。このため計算方法をすべてStandard modelへ変更して扱います。

Radiation modeの設定によって計算方法が変わります。シミュレーションの目的によってはStandard modelが向かないケースも考えられます。例えば、 直達日射の扱いなども変わります。シンプルに暖冷房負荷を計算する場合はそれほど影響はないと思いますが、庇の位置や形状を検討する場合は影響が大きくなります。

Radiation modes
Radiation modes

モデリングのヒント(2)Zoneに分割する

Zoneが凸型(Convex)形状になるように、2つに分割してモデリングします。そして分割したZoneの接続部分は内部開口を設けます。ここでWindow typeはライブラリから「VIRTUAL」を指定します。※

LDとKの2つのZoneへ分割して、内部開口を設ける
LDとKの2つのZoneへ分割して、内部開口を設ける

VIRTUALは開放、もしくは存在しない窓の代替としてライブラリに用意されています。熱的に空気のような扱いになります。

ライブラリによっては未登録のケースもあるので、リストに見当たらない場合は別のライブラリを選択してください。(下の図ではTESSのライブラリから選択している状態です)

Windows type VIRTUAL
Windows type VIRTUAL

まとめ

凹型のZoneを扱う場合は、ここで紹介したように計算の目的やZoneの形状に合せて適切にモデリング、計算の設定が必要です。

また、1つの空間を複数に分割する場合、換気については注意してください。空間を複数のAirnodeに分けても、そのAirnode間の室間換気は何もない状態です。換気が想定される場合はCoupling air flowを使って換気量の調整が必要です。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.01.0001(64bit)

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