TRNEdit,TRNSEDアプリケーションの資料を公開しました

前回、TRNEditの仕組みを紹介しましたが、その中からTRNSEDアプリケーションに関する資料をTRNSYS.JPリポジトリへ追加、公開しました。

リンク先からPDFをダウンロードできます。

・TRNSYS.JP/Docs/TRNEdit/
https://github.com/TRNSYSJP/TRNSYS.JP/tree/master/Docs/TRNEdit

資料はTRNSYS18のドキュメントの以下の部分を日本語に訳した内容です。

6.10 TRNSEDアプリケーションの作成

6.12.4.1. TRNSED/Create Distributable

英語版を機械翻訳して手を加えたので、日本語が多少ギクシャクしていますが、大筋の内容は分かると思います。

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動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.00.0019(64bit)

TRNEditのしくみ

TRNSYSには複数のアプリケーションが含まれています。代表的なのはSimulation Studio、それと建物モデルを扱うTRNBuildですが、他にも便利なアプリケーションが用意されています。

TRNEdit

TRNEditは.dckファイルの編集、計算実行、パラメトリック計算のツールです。これの使い方を憶えると、TRNSYSの計算、とくにパラメーターを変更しながらの繰り返し計算が簡単に行えるようになります。

ところで、.dckファイルって何でしょうか?Simulation Studioを使っているとあまり意識する事はありませんが、TRNSYSの計算用ファイルです。Simulation Studioで作成された計算のモデルから、計算エンジン(これがTRNSYSの本体)へ計算の指示をまとめたデータファイルです。

Simulation Studio.dckファイル、それとTRNEditの関係を大まかにまとめると、図のような関係になっています。

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複雑そうに見えますがあ、一つ一つは単純な流れなので順番に見ていきましょう。

①Simulation Studioからの計算実行

普段Simulation Studioを使って行っている計算の流れです。表面的にはSimulation Studioが計算を行っているように見えますが、実は図の①(黄色い矢印)の流れで裏でTRNSYSへ.dckファイルの書き出した後、TRNSYSを起動して計算を行っています。

少々話が横道にそれますが、計算に使われる.dckファイルはSimulation Studioのメニューから、[Calculate]-[Create Input file], つづいて[Calculate]-[Open]-[Input]の順で選択すると内容を確認できます。

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ご覧のようにテキストファイル形式のシンプルな構文です。これをメモ帳などで編集、もしくは作成して直接TRNSYSで計算を実行することも出来ます。Simulation Studioから計算を実行するたびにこのファイルが書き出されています。

②TRNEditからの計算実行

上述したようにTRNEditでは.dckファイルの編集と計算実行、それとパラメトリックな計算を実行することができます。下の図はTRNEditでSimulation Studioから出力された.dckファイルを開いた画面です。見た目がメモ帳みたいですが、操作もメモ帳とほとんど変りません。ParametersInputsの値を直接変更したり、パラメトリック機能を使って計算を繰り返す事ができます。

特に.dckファイルの構文に慣れている方には便利なツールです。Simulation Studioで設定を変更するよりも格段に早く処理できます。

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③TRNSEDアプリケーションの作成

TRNEditにはもう一つ面白い機能が用意されています。TRNSYSの計算モデルからアプリケーション(TRNSEDアプリケーション)を作成することができます。

この機能は.dckファイルの仕組みを利用しているので、既存のプロジェクト(.tpf)を元に、簡単な構文でGUIを追加することが出来ます。

下図はサンプル(C:TRNSYS18ExamplesTRNSED)のTRNSEDアプリケーションの例です。この例ではドロップダウン形式のリストを追加してパラメータを選びやすくしています。

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このように画面の作り込みが出来るため、特定のパラメータのみ変更して同じ計算を繰り返し行うようなケースに向いています。

このTRNSEDアプリケーションは、TRNSYSが無くても単独で実行できます。ライセンスの範囲内で配布も可能です。日頃頻繁に行うような計算やプロジェクトの終了後に成果物としてまとめたりといった用途に利用できます。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.00.0019(64bit)

TRNSYS(3) アプリケーションの構成

前回、モジュラーアプローチについて説明しました。TRNSYSでは基本的な計算機能や機器をモジュール、あるいはコンポーネントと呼ばれる単位で提供されると書きましたが、他にもTypeという呼び方もあります。
少々紛らわしですが、TRNSYSのドキュメントでは特に区別していなければ基本的に同じ物を指します。

今回からはモジュールを並べて何か動くものを組み立ててみたいと思います。さてその前に、使用するアプリケーションの紹介です。

TRNSYSのアプリケーション

TRNSYSには計算を行うためのアプリケーションが複数提供されています。それぞれ計算の目的や内容応じて使い分けます。

  • Simulation Studio

コンポーネントの配置、接続、そしてシミュレーションの実行を行うアプリケーションです。
基本的にこのアプリケーションだけあればTRNSYSの計算の組立から実行まで行えます。ほとんどの作業はこのツールから行うため、TRNSYSというとこのアプリケーションの画面を思い浮かべる方が多いようです。

  • TRNBuild

住宅やオフィスなど建物を扱う場合にTRNSYSではType56(Multi-Zone Building)というコンポーネントを使用します。いわゆる多数室モデルを扱うコンポーネントです。
多数室を構成する部屋や壁の材料など物理的な条件、在室者や照明など発熱体や換気など時間によって変化する条件など、計算に必要な設定を行います。他のコンポーネントに比べると遥かに設定項目が多いため、専用のアプリケーションが用意されています。
このアプリケーションで建物データの作成、編集を行います。

  • TRNSYS3D

多数室モデルを作成するためのアプリケーションです。SketchUpのプラグインとして動作します。TRNBuildで建物のデータを作成する際に、その前段階として3Dの画面上で建物の形状を入力することができます。(TRNbuildでも形状データの入力は可能ですが、図面からの拾い出し&入力になります。TRNSYS3Dでは形状を効率良く作成することができます。)

  • TRNEdit

TRNSYSで計算を実行する際に使用するDckファイルの編集アプリケーションです。
前々回、すこし触れましたが、Simulaiton Studioで計算を行う場合、Dckファイルはバックグランドで自動的に生成されます。と言うことで普段はあまりお目にかかりませんが、計算ごとに必ず作成されています。
DckファイルはTRNSYSの計算エンジンに対して、どういう順番で計算を行うのか、具体的に定義したファイルです。言ってみれば計算の指示書です。
中身はテキストファイルなので、メモ帳などで開いて見ることができます。このファイルを書き換えて、条件を変更して実行することも可能です。
詳しくは以前のエントリ(TRNEditで条件を変えてTRNSYSを繰り返し実行する)を参照して下ください。

次回はSimulaiton Studioを使って基本的な操作方法をご紹介したいと思います。

つづく。  

関連リンク:
TRNSYS(1) TRNSYSとは?
TRNSYS(2) TRNSYSの仕組み
TRNSYS(3) アプリケーションの構成
TRNSYS(4) Simulation Studioの基本操作

つづく。   関連リンク:
TRNSYS(1) TRNSYSとは?
TRNSYS(2) TRNSYSの仕組み
TRNSYS(3) アプリケーションの構成
TRNSYS(4) Simulation Studioの基本操作

TRNEditで条件を変えてTRNSYSを繰り返し実行する

前回のエントリーでPowerShellを使ってDckファイルを書き換えてTRNSYSを実行する話を書きました。

実は前回の例題の内容だと標準のツールでも同じことができます。というか、やり方としてはこちらの方が推奨です。前回はスクリプトを使って、他にもいろいろやりたかったので試験的にやってみました。

さて、標準ツールで行うやり方について詳しくはドキュメントの「6.1.2. Parametric runs」に説明があるので、そちらを参照してもらうとして、簡単に説明します。

TRNEditというツールを使用して作業を行います。TRNEditを起動して、まずはDckファイルを開きます。

前回PowerShellで書き換えたのと同じ”TURN=0″を変更対象にしたいので、以下のように書換えます。

オリジナル

* START, STOP and STEP
CONSTANTS 3
START=0
STOP=8760
STEP=1

--- 省略 ---

* EQUATIONS "Turn"
*
EQUATIONS 5
TURN = 0
AA_N = 180 + TURN
AA_S = TURN
AA_E = 270 + TURN
AA_W = 90 + TURN

変更後

* START, STOP and STEP
CONSTANTS 4   ←1項目追加するので3から4に書き換える
START=0
STOP=8760
STEP=1
TURN = 0    ← EQUATIONSからコピーして追加する

--- 省略 ---

* EQUATIONS "Turn"
*
EQUATIONS 4 ←  TURN=0のコメントアウトで1項目減るので5から4に書き換える
!TURN = 0   ← CONSTANTSへ移動したので行頭に"!"を追加してコメントアウト
AA_N = 180 + TURN
AA_S = TURN
AA_E = 270 + TURN
AA_W = 90 + TURN

変更箇所を比較ツールで表示した画面。

左側がオリジナル、右側が変更後です。

Parametric Tableを用意する

メニューから[Parametrics]-[New Table]を選択すると、以下のようなダイアログが表示されるので、対象にするパラメータ、つまり”TURN”を選択して”Parameters in Table”へ追加します。

OKボタンを押すと、以下のような画面になります。

ここで、直接パラメータを入力することも出来ますが、一定のパターンの値を入力する場合は[Parametrics]-[Alter Table]コマンドで簡単に設定することができます。

コマンドを選んで表示されるダイアログで以下のように入力します。

First Value : 0
Increment : 10

これで一気にテーブルにパラメータが設定されます。

最後に[TRNSYS]-[Run Table]を選ぶと、テーブルの値に基づいてTRNSYSの実行が繰り返されます。

この例では計算が10回実行され、計算結果も同様に書き出されてきます。後は計算結果をExcelなどで処理すればOKです。