TRNSYSで暖冷房期間を設定する

TRNSYSの多数室モデルの暖冷房期間の設定例をご紹介します。

暖房は暖房期間だけ、冷房は冷房期間だけ使用する設定例です。なにか当たり前に思えますが、TRNBuildのHeating/Cooling typeは設定温度で制御されるため、夏でも室温が下がれば暖房が、逆に真冬でも室温が上がれば冷房が入ります。

季節ごとに暖房、冷房を切り替えるように季節の条件を計算に盛り込みます。

考え方

TRNBuildのHeating typeやCooling typeに暖冷房期間の設定項目はないので、外部のコンポーネント使って処理します。

以下、暖房期間を例にHeating typeの設定方法を説明します。

年間スケジュールと1日のスケジュールをそれぞれ用意して、この2つを組み合わせてHeating typeを制御します。それぞれのスケジュールは表のような値をとるように定義します。

スケジュール
年間スケジュール(0h~8760h)暖房期間(1)非暖房期間(0)
1日のスケジュール(0:00~24:00)暖房On(1)暖房Off(0)

あるタイムステップの暖房の状態(On/Off)は年間スケジュールと1日のスケジュールの積で求める事ができます。こう書くとなにか難しいような気がしますが、2つのスケジュールの条件が両方1なら掛け合わせると1、それ以外の組み合わせなら0になるので、この値をHeating typeのOn/Offとして使います。

スケジュールの定義方法はいくつか考えられますが、今回はType14 forcing funtionを組み合わせて使用します。

以下、暖房の設定例で説明してます。冷房についても基本的な考え方は同じです。

Type14の準備

年間スケジュール(暖房期間)と日単位のスケジュール(時刻ごとのスケジュール)用にType14を2つ用意して、それぞれスケジュールを設定します。

プロジェクトに図のように配置、接続します。

以下、コンポーネント設定例を順に説明します。

日単位のスケジュール(heating_schedule)

1日のうち暖房を使用する時間帯を1、それ以外は0のスケジュールを用意します。この例では9:00~18:00に暖房をOn(1)、それ以外の暖房をOff(0)としています。

年間スケジュール(heating_period)

暖房期間の間は1を、それ以外は0のスケジュールを用意します。この例では0h~2760h(1/1~4/25)、7056h~8760h(10/22~12/31)を暖房期間(1)、それ以外を非暖房期間(0)としています。

Equation

上記2つのType14の値をEquationを使って1つにまとめます。それぞれのスケジュールの値を掛け合わせてHeating_ONの値にまとめます。

これがタイムステップごとの暖房のOn/Offの値です。あるタイムステップが暖房期間内(1)、かつ、暖房を使う時刻(1)の組み合わせのみHeating_ON(1)になります。

冷房期間

冷房期間を扱う場合も同様です。冷房用にType14とEquationをもう1セット用意してCooling typeのOn/Offを制御します。

週間スケジュール

さらに平日と休日、もしくは曜日ごとのスケジュールが必要ならType 41 Forcing Function Sequencersと組み合わせる事も可能です。

Type41について今回は解説しませんが、Examples(”C:\TRNSYS18\Examples\HVACTemplates\System1.tpf”)に使用例があるので、こちらが参考に設定して下さい。

“C:\TRNSYS18\Examples\HVACTemplates\System1.tpf

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

  • Windows10 Pro(64bit, 21H1)
  • TRNSYS18.02.0002(64bit)
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