TRNSYSのドキュメントの話です。
一般にシミュレーションのツールって、アプリケーションの使い方はあたりまえとして、計算方法の「中身」についての記述に非常に多くのページが割かれています。
これって、テレビを買ったら取説に液晶パネルの技術解説書がついてくるようなレベルです。やはり研究用途のツールだと、「中身が見える」というのが重要なポイントのようです。
TRNSYSもご多分に漏れず、すごい量のドキュメントが付いてきます。PDF形式で添付されるものの他、HTML形式だったり、はてはソースコード(←ドキュメントか?)まで含め大量に用意されています。
でも、困ったことに慣れるまで、どこに何があるのか分かり難いんですよねー。ってことでまとめてみたいと思います。
はじめはPDF
アプリケーションの使いたや、TRNSYSのデータフォーマット、コンポーネントの機能についてPDF形式のファイルが用意されています。
スタートメニューやSimulation Stuidoの[ヘルプ]-[?]メニューの2か所から呼び出すことができます。
Vol.1 Getting Startedから始まって、Vol.8 Weather Data、それとオプション製品の数冊構成です。
印刷すると、それぞれ電話帳(そういや最近見ないですね電話帳)ぐらいのボリュームがあります。まともに読み始めると、かなりつらい量です。
何か調べるときは右上に検索ボタンが用意されているので、ここからキーワードを指定して検索するのが効率的です。
慣れてくると、目的の情報が、どのマニュアルにあるのか、だんだん見当がつくようになってきます。
コンポーネントの機能を調べる
コンポーネントの詳細については、次のPDFのドキュメントに詳しい記述があります。
- Vol03. Standard Component Library Overview
- Vol04. Component Mathematical Referenceに記載されています。
それ以外のもっとコンポーネントの実装というか、実際にSimulation Studioで利用する際の補足的な情報は以下の機能で確認することができます。いくつかあるので、覚えておくと重宝します。
Proforma
コンポーネントを選んで、右クリックで[Proforma]を選ぶと図のようなウィンドウが表示されます。これの「Description」タブを見るとコンポーネントの概要が書いてあります。なんのためのコンポーネントなのか確認することができます。
Variable Window
コンポーネントをダブルクリックすると、表示されるウィンドウです。まー、頻繁に使うウィンドウなので解説不要かと思いますが、Paramenter/Inputs/Outputsを確認することができます。
ここで、[more]ボタンを押すと、さらに個々の詳しい解説が表示されます。意外とこの機能は知られていないですが、パラメータの意味など不明な場合は、ここで表示される説明が参考になります。
Export as HTML…
前出のProformaのウィンドウを表示した状態でメニューから[File]-[Export as HTML…]を選ぶと、あら不思議。コンポーネントのParameter,Inputs,Outputsなどの説明が、まとめて一つのHTMLとして書き出されます。
このファイルをブラウザで開くと、コンポーネントの機能が一気に見渡せて読みやすいドキュメントになります。
以前は独立した一冊のドキュメントにまとめられていたんですが、いつのころからかHTML形式になりました。
おそらくコンポーネントの数が多く、また、バージョンアップにともなう更新が大変なので、この形式になったのだと思います。
参考:TRNSYSのコンポーネントの機能を調べる
ソースコード
これ見ると、実際何をどうしているかハッキリするので、ある意味究極の仕様書とも言えます。まあ、でも、ソースコードを見て、何やっているかわからないからドキュメントがある訳で、これを読むのは最終手段ですね。
通常は、以下のフォルダに、TRNSYSの基本処理から、コンポーネントなど内容別に収められています。
Type1のソースコード
新しいコンポーネントを作る際には、似た処理を行っているコンポーネントが参考になります。
マニュアルに記載があると言っても、初めて使う関数など、実際に動くいているコンポーネントのソースコードは貴重な情報源になります。
以上、いろいろな情報が用意されているので、状況に応じて利用すると、効率的に作業を進めることができます。