床下をどうモデリングするか?(TRNSYS-USERSより)

TRNSYS-USERSに床下のモデリングに関しての質問が流れていました。一般的な床下の話ではないのですが、やりとりが興味深かったのでメモとして残します。

[TRNSYS-users] How to model a cavity zone under a building

以下、意訳を含みます。詳しくはリンク先をの原文を参照して下さい。

建物の構造

質問者は図のようなキャビンの床下をどうモデリングするかについて質問しています。図から分るように実験用の単室のキャビンようです。それ自体が支柱に支えられていて床下は直接外気に触れる構造です。

そして質問者はTRNSYS3Dでは床下をZoneとしてモデリングすることを想定しています。これがモデルとして妥当かどうか質問しています。

返信1:床下換気の考慮

モデリング的には妥当。ただし、床下の換気を考慮するため換気モデルとの連成が必要。具体的にはCONTAM、もしくはTRNFlowを使って計算を行う。

床下をZoneとしてモデリングすると、そこは閉じた空間です。外気の条件とは異なるため、そのままでは外気温と異なる気温のZoneが床下にあることになります。それを避けるため床下空間の換気量を計算に含める方法です。

返信2:External、もしくはBoudary wallとして扱う

床下Zoneを作らずに、床を直接外気に接する壁としてExternal wallとして扱う。そのままでは日射の影響を受けるので、日射吸収率を0にするか、TRNBuildで専用の方位(Orientation)を追加して、常に値が日射量が0になるように設定する。もしくは、Bounary wallとして境界温度に外気温を設定する。

これは床が適度に断熱されていば許容できるモデルです。また、地面側の温度を考慮しなくても済みます。

図にすると変な感じがしますが、支柱はあるものの実質的に床下はなくて、直接外気に接しているとしてモデリングします。

キャビンが空中に浮いていると考えたモデリング

まとめ

返信1で換気連成を使うのは個人的にはちょっとやり過ぎ感があります。構造を見る限り、室内に影響が出るのは主に外気温と考えてInfiltration、もしくはVentilation typeで大きめの換気回数を設定するので十分ではないかと思います。もちろん換気連成を使って詳細に計算するのもありですが、設定に掛かる手間を考えると、そこまでの大きな影響はないように思えます。(つまりコスパがよろしくないという印象です)

返信2は、自分でモデリングするならこの方法を使います。ただし、Bounary wall+外気温という発想はありませんでした。建物の構造を考えてみると、条件としてこれが一番しっくり来ます。

とはいえ、返信2で触れられていますが床が断熱されいる場合の話です。床に断熱がないとすると(考えにくいですが)、地面側の温度が無視できないかも知れません。それなら返信1の方法に加えて地中温度を条件に入れたモデルを検討します。

ところでこのケースの床下って、条件としてはピロティや1階が車庫などで外気に直接接している床と同じです。床が地面に近いか遠いかの違いなので、考え方としてはピロティなどでも同じモデリングが使えます。

なんにしても条件や影響の度合いや考慮したい内容によってモデルの作り方も変わってくると思います。想定した条件で計算して、もし上手く行かないようなら原因を再検討、別の方法を考えれば良いのです。

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