傾斜面日射量を「水平面全天日射量」に換算できないか考えてみた

仕事で日射量データを扱っていると、傾斜面で実測されているデータに出会うことがあります。

傾斜面で日射量を測るケース

傾斜面で日射量を実測するケース、理由はいろいろあるようです。

  • そもそも傾斜面日射量を実測している(太陽電池パネル面、集熱器面の日射量の実測)
  • 設置の都合で水平面に置けなかった
  • そもそも“その面”が知りたかった

などなど。このため、「傾斜面日射量の実測データが手元にある」という状況自体は、それほど珍しくありません。

一般的に使いたいのは水平面全天日射量

とはいえ、シミュレーションでは水平面全天日射量をそのまま、もしくは換算して使うケースが多かったりします。

TRNSYSに使えそうなコンポーネントは?

というわけで、傾斜面日射量を水平面全天日射量へ換算できないかTRNSYSのコンポーネントを調べてみました。

標準コンポーネントにはありませんでしたが、TESS Utility Library / Solar Library に含まれている
Type 546: Total Radiation Splitter
がどうやら使えそうです。
(オプションライブラリなので別途入手する必要があります)

Type 546: Total Radiation Splitter

ドキュメントによると、Type 546 は傾斜面「全天日射量(Total Radiation)」もとに直散分離をするコンポーネントのようです。
Outputには水平面全天日射量も用意されています。これが使えそうです。

Type 546 の入力

このコンポーネントに必要な主な入力は以下。

  • 傾斜面上の全天日射量
  • 表面の傾斜角(slope)などの配置条件
  • 水平面大気外日射量(Extraterrestrial horizontal radiation)

水平面大気外日射量がちょっと厄介そうです。でも冷静に考えるとこれは計算値です。これさえなんとかすればクリアできそうです。

Type 546 Total Radiation Splitterの挙動を確認

Type546には、ありがたいことにサンプルが用意されています。

C:\TRNSYS18\Tess Models\Examples\
Utility Library\
Misc - Plume Predictor, Radiation Splitter, Sky Temperature_v2a.tpf

このサンプルを開いてみると、TMY形式の気象データから傾斜面日射量を受け取って、傾斜面の直達・天空・地表面反射に分離しているようです。(クリックで拡大します)

傾斜面→水平面全天日射量を検証

傾斜面日射量から水平面全天日射量に換算した値、それと元々の水平面全天日射量を比較して同じになれば使えそうです。

サンプルを元に改良して、Type546で計算された水平面全天日射量と、Type15(気象データ)の水平面全天日射量を比較してみました。

接続は以下のようになります。

  • Type15 / 傾斜面日射量 → Type 546
  • Type546 / 水平面全天日射量→Type65
  • Type15 / 水平面全天日射量→Type65

これでほぼ同じ値が出力されるか比較してみると。。。、なかなか良さそうな結果です。(下図)

TESS Utility Library / Solar Library, Type 546: Total Radiation Splitterをお持ちの方は、こちらのサンプルをお試し下さい。

実測データの場合の課題

問題はここからです。実測データの場合、水平面大気外日射量がありません。

水平面大気外日射量はどうやって用意する?

このサンプルではType15 から水平面大気外日射量を受け取っています。前述したようにこの値は計算値です。既存の気象データから拝借しても、おそらくは。。。、問題ありません。

念のため既存の気象データリーダーを確認してみると、どのコンポーネントも水平面大気外日射量を出力しています。

つまり、

  • 近くの地点の気象データを使う
  • そこから水平面大気外日射量だけ拝借して、Type546へ入力

という方法が取れそうです。

ただ注意点としては実測した地点と気象データの地点の緯度・経度は異なります。距離にもよりますが、「その誤差をどう考えるか」は使う側の判断です。

注意点(重要)

この記事では考察のみ行っています。実際に試してるわけではありません。

  • 実測データでの厳密な検証はしていません
  • 正解データが手元に存在しないので検証も難しい
  • 試す場合は、その点を理解した上で試してください

まとめ

  • 傾斜面で日射量を実測するケースは意外と多い
  • でも使いたいのは水平面全天日射量、という場面も多い
  • TRNSYS の Type 546 を使えば傾斜面日射量から水平面全天日射量を取り出せそう
  • 課題は「水平面大気外日射量」の扱い
  • 近くの気象データから拝借するのが現実的か?
  • 誤差や前提条件を理解した上で使うのが重要

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。

  • Windows11 Pro(64bit, 25H2)
  • TRNSYS18.06.0002(64bit)
  • TESS TESS Utility Library / Solar Library 18.0
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